FC2ブログ
Loading…
 

『獨白』 倉本 聰

アマゾンで、というよりも、一般の書店で扱われていない本のようです。
文教堂書店では販売しているようなのですが。
入手しにくい本の紹介で、ごめんなさい。

(なぜか図書館には、あったのですよね。さすが人気脚本家!?)

詳細は、こちらのサイトにて。

http://kuramotoso.jp/book_2011_dokuhaku.php


『「北の国から」ノーツ』と副題にある通り、ほぼ「北の国から」の裏話。
肝腎のドラマは両親が熱心に見ていたけれど。私はそうでもなかった・・・のに。
倉本氏が振り返るドラマのシーンが、次々と胸の痛みと共に鮮やかに甦った。

当時も私は、このドラマを観ると胸が苦しくて・・・
だから好きじゃなかった。そのことに、初めて気がついた。

純の気持ちも。螢の気持ちも、五郎の気持ちも。
別々に、少しずつ、わかる気がして。
誰の立場になってみても、「生きる」ことが辛すぎるように思えて。

都会っ子で長女の私は、純に感情移入する割合が、やや多かった。
親に上手に甘えられるタイプでない純の姿に、自分が重なったのだろう。
純と同じく、自分の心の中で自分の気持ちを解説するするクセもあったし・・・

同時に、純には死ぬほどイライラさせられもした。
田舎くさい父親の五郎を疎んじる気持ちに同調しながら。
それでも、五郎さんは可哀そうだし、とても好きだった。

いや、そういう単純なものではなくて。誰もが哀しかった。
令子さんも、草太兄ちゃんも、つららさんも。先生も。

人間の想いの「どうにもならない部分」に激しく心を揺すぶられて。
それが私には苦しかった。しんどかった。腹が立った。

愛も優しさも願いも、どうして。どうして、こんなにもすれ違うのか?と。

思えば。当時の私は、カチンコチンの理想主義で潔癖症だった。
よって。他人にも厳しく。自分に対するダメだしも、激しかった。

私なんて、ネクラだし、チビだし、運動神経ゼロだし、協調性ないし、
頭悪いし、ウジウジしてるし、生きてる値打ちない・・・・

でも。それは、根拠のない自信の裏返しでもあって。
これじゃ駄目、このままじゃ駄目、絶対、ここから抜け出してやる、
そんな強い気持ちも根っこにあるワケで。

ドラマの中に。どんなに頑張っても幸せになれない人々を観ることは。
それが現実だとわかるだけに、どうしても許せなかったのかもしれない。

私には、誰もが道を選び間違えているように見えたし・・・
かと言って、それぞれが他にどう生きたらいいか、思いつくわけでもなかった。

「どうにもならない」

でも。それでも。人は運命に立ち向かっていく。報われなくても。
いや。報われないと見えているのは、表向きのことであって。

自分が信じた道を貫き通すことだけで、すでに報われているのだと思う。
結果が出なくても「想い」は強く生き続けるということが。
幼かった当時の私には、信じることが出来なかったのだろう・・・まだ。

(2011.11.2)
甦る場面の数々に思わず涙が浮かびました。

撮影は相当過酷だったらしく。
吉岡君の台本には幼い字で黒々と、「杉田(監督)、死ネ!」「倉本、死ネ!」と
大きく書いてあったのだそうです。

岩城さんがボクシングシーンで意識をなくして病院に運ばれたこと、
いしだあゆみさんが「演技的救世主」であったこと、
熊谷美由紀の女としての魅力と怖さ、
キツネの、あの心に残る場面が、ほぼ実話だったこと・・・、

印象に残るエピソードも数々あり、俳優の魅力が伝わってきます。
倉本氏も言うとおり、ドラマ(映画は勿論)においてキャストは重要。
その点でも、比類ない成功を収めたドラマだったと改めて感じました。

倉本氏の脚本家としての心構えが、最後の一節に凝縮されていて。
ここを読んだだけでも値打ちがある、とそう思わされました。

この本は、ブログ仲間の道下森さんに教えて頂きました。
私とは、まったく違う切り口で心にズシン、と響く書評を書かれています。
よろしければ、読み比べてみてください。

道下森オフィシャルブログ 魂の落書き

道下森さまは、倉本氏の文明批判の姿勢について言及されていて。
私もそれについては、多々思うところはあったのですが。

それ以上に、「自分の信じる道を生きる」姿勢を貫き通す意志が、
本文中にも、振り返るドラマ撮影の情景にもくっきりと刻まれていることに、
深く感銘を受けたので、敢てそれ以外の部分には触れていません。

私としては、倉本氏の脚本家としての矜持が印象深かったです。
どのような思いで彼が仕事をしてきたのか、というところが。

何を描きたいと思っていたのか、そしてその為にどんな工夫や、
いってしまえば、小細工のようなものも凝らしていたのか、という・・・。

これは褒め言葉なのですが。倉本氏には独特の「ケレン味」もあって。
やたらと素直な性格(ほんとか?)の私には苦手な部分もあるけれど。
そこが魅力だな、ということも感じました。

かつ、厳しくて。どこか。突き放したような。でも。でも熱い。
彼自身が、脚本を書きながら、ボロボロ泣いた・・・って意外でしょう?

うん。だけど。すごく、わかる気もする。
失礼だと思うけれど。どこか、可愛らしさ、いや可愛げがある。

本書にも「かわいげ」という章があるのです。毒のある可愛さですが。
毒・・・?違うか。だけど。甘くはない可愛さです。命も賭すほどの。

俳優のみならず、スタッフ側にも印象的な人物がいらして。
「物作り」の現場の空気が、何だかとても、羨ましくなりました。

まっすぐな気持ち、をふと自分の中に再発見させてくれた本でした。


関連記事

すてきな感想、読ませていただきました。

ドラマ「北の国から」
彩月さんと同じく、ぼくもドラマを観ながら、純の態度にいらつきました。もう、ドラマの大半は純に対する嫌悪がしめてました(笑)。同時に、これも彩月さんと同じく、最も強く感情移入したのは純でした。ぼくも長男だから。どうしても純に自分を重ね合わせてしまうんですね。自分の中にある嫌な部分を見せつけられているようで、「嫌なドラマだなあ」と感じていました。

だけどそれこそが倉本氏が書きたかったことなんだ、と、この「獨白」を読んで気づきました。純=倉本氏なんだ、と。北海道に移り住んだ当時の。で、純の成長=倉本氏の世界観の変化、なんだと思います。

とにかく、この本をとおしてドラマの裏側を見れたのは貴重ですね。ああ、こんなふうにやってたんだあ、と、興奮しながら読みました。

昔堅気の職人のようなこだわりを持って、本物のドラマをつくり上げたんでしょうね。だけど物語そのもの(脚本)は、きっと倉本氏がつくり上げたというより、の心の中で、勝手に育っていったのだと思います。

彩月さんが倉本氏に抱いた気持ち、わかります。苦手というのも。たぶん、富良野塾の塾生として倉本氏と関係を持ったら、ぼくは嫌いになると思う(笑) だけど人間として尊敬できるのはまちがいなくて。

倉本氏がかわいい、というのも感じますね。そういう人間くささを持っているからこそ、ドラマをとおして「人間が描ける」んでしょうね。


リンク貼っていただき、ありがとうございます。あらためて自分の記事を読み返して、誤字脱字を3カ所見つけました^_^;
2011.12.12 05:22 | URL | 道下 森 #JyN/eAqk [edit]
やっぱりね!純には苛立ちましたよね。

もうね~。現実の自分もいい加減、イヤで自己嫌悪の塊なのに。
それをドラマで再現されてるみたいで・・・^_^;
罵倒してやりたいのと、応援してるのと。
いや、とにかく、何よりまず、イライラする~!(笑)

今では、こういう風にドラマは作れない、現場は悪くなってる、って。
倉本氏がおっしゃってたのは、哀しいけれど事実なんだろうなぁ。

うん、うん。私も富良野塾の塾生になるの、ムリだわ!(笑)

心の中で育っていった脚本、っていうのは・・・いい言葉。
きっとその通りなんだな・・・手探りで作る過程で進化していったんだね。

ほんと、かわいくて、イヤぁな、ヒトですね。

リンク、こちらこそ、勝手に貼ってしまいまして・・・。
(えっ、誤字脱字?私も全然、気がつきませんでしたよ・・・)
2011.12.12 10:52 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]
ぼくも月曜の記事で、勝手にリンクを貼らせていただきました。「やさいのかみさま」の感想です。よかったら見てね(^_-)
2011.12.13 06:58 | URL | 道下 森 #JyN/eAqk [edit]
ありがとう。観に行って来ました。
うん。うん。いいなぁ。改めていいなぁ。と思いました。
また読み返したくなっちゃいました。
2011.12.13 21:39 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]


  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://raffiner.blog70.fc2.com/tb.php/1292-d573f39d

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

このサイトはAmazonアソシエイトに参加しています。

表示中の記事

カテゴリ

カテゴリー 月別アーカイブ

 

***