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史上最強の哲学入門   飲茶

2012.01.05 哲学   comments 4
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ひとことで言うと。劇的に面白かった。

そんなに厚くもなく、字も大きく、行間も広く、絵や図がふんだんに挿入され。
ここに32人の哲学者が収められている・・・となれば。正直、あまり期待しない。

しかし。著者は、初心者も挫折しない哲学入門書を書くにあたって。
よくある平凡な、哲学のダイジェスト的なものとは一線を画したいと思い。

「よりよい強い論を求め、知を戦わせてきた男たちの情熱の物語」

として、本書を執筆。そのネタは「バキ」ってマンガだそうなんですが。
残念ながら私、マンガのことは、わかりません。格闘技が題材なんですね?

ともかく。その狙いは外れてなかったと思う。
わかり易過ぎて不安になるくらい、解り易く、かつ面白い。

哲学史を一冊で、となるとフルスピードで駆け抜けるので。
え。あ。お~。この数行でプラトン語るんかい!と驚きますけど。
哲学全体の流れはつかめるし・・・・ていうか、それだけを期待してたんです。
さらっと。哲学のおさらいに、軽く読むのにいいかも?って。

そうしたら。意外にも(失礼!)。著者なりの問題提起もある。
現代、なぜプチ(?)ニーチェブームなのかが腑に落ちる。

何よりも、ただ哲学者個人の思想を説明するのではなくて、
どうして、その哲学者がその考えに到達したかという過程と歴史的背景が、
すっきり、くっきり明快に述べられている。

その上で、現代の視点でそれぞれの思想の評価をするのではなく、
かと言って、過去の歴史の中で完結した理論として片付けるのでもなく、
現代において提起しうる要素を捉え、言及している。

いや。はるかに想像を超える良書でした。驚きました。
見た目が見た目だけに・・・なにせ開いたら。いきなり。

「神殺しは生きていた! 更なる研鑽を積み人間狂気が蘇った! 超人!! ニーチェだァー!!」

という調子なので・・・あ。皆さまも読むことがあれば、ここでビビらぬように。

抜群の面白さながら、ひとつ、ひっかかる点を挙げるなら。
「わかりやす過ぎる」ことの功罪、でしょうか。
それは本書に限らず、私が近頃気にかかっていることでです。

単純に「わかりやすく書くために取りこぼすものがある」ということでなく。
わかりやすいがために、読む人間が学習しない、という点が不安。

ええ。わかり易く書くには、明晰な頭脳が必要なのであって。
わかりやすい文章や書物を馬鹿にする気は毛頭ないですし。
わかりにくい難解な文章を有難がる気は更に、さらさらないです。

が。わかりやすいものを読むとね。
読む側が「わかってないのに、わかった気になる」ことが多いと思う。
そこで思考停止する。そして、自分の頭で考えないことは脳に残らない。

でも、難しいものを読んで興味をなくすより。
わかり易いものから入って、深めていくほうがいいんじゃない?
・・・っていうのが現代の風潮ですよね。

うーん。まぁ。そうなれば、いいんですけど。
たいてい、「わかったつもり」で満足して終わるんじゃないでしょうか。

あ。でも。わかりやすさの中に。
「もっと知りたい」と思わせる「未知の部分の輝き」を示してくれていれば。
よい入門書になり得るんだと思うんですけど。

本書は、どうか?及第点かなぁ・・・。
個人的には、後半が俄然、面白かったです。ソシュールが新鮮でした。
次は、ソシュール関連の本を読みたいと思います。
(残念ながらソシュールは著作を残さず・・・伝説となっている講義の記録のみ)

でね。ふと気付いたのですが。「男たちの物語」なんですね、これ。
そうか。哲学者って、みーんな男なんだ?
科学者も経済学者も、男が圧倒的に多いけど。
ゼロってことはないでしょう。キュリー夫人もいたし。

哲学は・・・女哲学者っていない?
調べたら、少ないけれど女性哲学者は存在するようです。
ただ・・・まぁ残念かつ失礼ながら、重要視されてはいないですよね。
哲学史に登場する人は、今のところいないわけで。

女性は哲学に向かないのか、単に社会的役割や環境のゆえか。
どうも哲学というより、「女性学」へと流れちゃう気がするけど?
・・・とか考え始めたら大脱線したので、この辺で。

(2011.12.22)
哲学の歴史が、あまりにも見事にまとめてあるので。
これ読めば、もう充分?と錯覚します。
でも数行に要約できる理論を個々の哲学者は何冊もの大著を書いて、
延々とくどいほどに、言葉と考察を積み重ねて展開するわけで・・・。

それを自力で理解するのは簡単ではないけれど。
そこを根気よく読むことこそが、「哲学」することなんだと思います。
ええ。読み解き方で異なってくる部分に楽しみがあるわけで。

飲茶氏も書いてましたが、ルソーなんて、普通に面白い読み物です。
騙されたと思って、未読の人は「エミール」を読んでみて欲しいな。

ハイデガーのわけのわからなさが魅力、というのも頷けます。
読者をけむに巻きまくって、結論言ってないじゃん?って感じなのですが、
妙に「格好いい」んですよねぇ・・・(幼稚な感想で、お恥ずかしい)

この本の良いところは、なぜ哲学なんてものが存在するのか?
哲学なんて何が面白いの?そんなもん、意味あんの?
・・・という疑問に答えてくれていることだと思います。

哲学に興味が少しでもある人は、読んで絶対、損しない本。


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前から書名は知ってはいたんですが、ちょっと手を出すのに躊躇してた本です(笑)。なんせ元ネタが「”史上最強の生物”と呼ばれるオヤジとその息子の親子喧嘩」(しかも真面目に格闘技で命の取り合い)なんですから(^^;)
あ、決して嫌いなわけではなくマンガ好きの自分としては面白がってるんですが、そのノリで哲学ねえ~という感じで。
意外とイケル本なんですねえ、知りませんでした。

ところで女性哲学者の件ですが、おそらく昔から「政治や世界について語るのは男」という社会通念があって、女性がその手の話をするのが好まれなかったからでは?
まだ読んだ事はないんですが、シモーヌ・ヴェイユやクリステヴァなど結構深い思想家だと思います。(いつか読んでみたいw)まだまだ旧態依然とした風潮が残っているので、女性の思想家はジェンダー論を避けて通れないと思うので。ある程度は「女性学」になるのも(今はまだ)致し方ないかも。

かたい話ばかりになってしまってすいません。こーゆー話をしだすときりがないのでやめておきます(笑)。
それでは今年もよろしくお願いします。
2012.01.05 18:45 | URL | 舞狂小鬼 #JyN/eAqk [edit]
ハイ、読みました。へぇぇ~。なかなか面白そうなマンガですね。

意外と、というより、ほんとにかなりイケますよ~。
哲学未経験者じゃなく、ひととおり齧った人にもお勧めです。
機会があれば、ぜひ、読んでみてください。
舞狂小鬼さまの感想が聞いてみたいです。

シモーヌ・ヴェイユ、名前だけは知っています^^;
そういえば、いつか読もうと思ってましたっけ・・・
そっか。ソシュールより先に、そちらを読もうかしら。

ええ。社会通念っていうのも原因のひとつでしょうね。
ジェンダー論を避けて通れなくなる気持ちもわからなくもない。
でも正直、ジェンダーは私には興味ない分野なのですよ。
どっちかっていうと、避けて通りたい(笑)

女性が哲学に向かない理由は、日々の生活に、
男性よりも密着せざるを得ない社会的(家庭的)役割のせい、
というのもあるかなぁ・・・と思うんです。

今日の晩御飯のこととかね、洗濯のこととか考えてると、
哲学的思考なんて、やってられないんじゃないでしょうかね。
良くも悪くも、現実的なんですよ、女性の方が。

でも、そういう役割から解放された女性が増えているから、
これからは凄い哲学者が表れるかも、と思ったりもします。

なんかねぇ。話ズレますけど、「女性ならではの視点」とか、
「女性ならではの感性」とかが売りなモノって、私、苦手なんですよねぇ。
(いや、そういうものの存在を否定するのではないのですが)

「あれ?これ女性が書いたの?男性かと思った」っていう方が好き。
つまり・・・女性学とかって、なんか好きにはなれないのですよ。
あ。この話を続けると女性を敵に回しそうなので、やめます^^;

かたくないですよ~。こーゆー話は、キリがないですよねぇ。
また、遠慮なく、話しかけて下さ~い。

こちらこそ、どうぞ今年もよろしくお願い致します。
2012.01.05 21:25 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]
著名な女性の哲学者ですと、池田晶子さんかなぁ。

クリスティバに関しては賛否両論みたいですね。未読ですが。

哲学Philo-sophiaは、
を愛するの意味があります。

わからないから、わかろうとするのでしょうかね^^。
2012.03.08 23:17 | URL | kappamama #JyN/eAqk [edit]
池田晶子さんは、何か読んだ覚えがあります。
とても好感の持てる女性でしたが、哲学というより、
人生論という印象が強かったです。
私が読んだ本がたまたま、そうだったのかもしれませんが。

クリスティバさんは知らなかったのでググってみました。
なんか面白そうな女性ですね、思想がどうこう以前に。
自伝に「サムライたち」と名づけるセンス・・・気になります。

しかし、なかなか、哲学を読む時間が作れません(>_<)
2012.03.09 09:19 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]


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  • 2012年01月05日 (木)

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