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つぶやき集 2012年1月(1)

「グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独」を観る。新年最初の映画。彼のピアノを初めて聴いた頃のことを鮮明に思い出した。クラシックもバッハも、よくわかっていなかった私には、彼の弾くバッハは「斬新」とは聞こえず、ただ純粋に、この上もなく美しい音楽だった。奇跡の音色だった。

グレン・グールド。映画の中で誰かが「粒立った音色」と表現した、あのピアノの音が、ほんとうに好きだ。たぶん、グールドの演奏するバッハと同じくらいに好きなものは人生の中にそう多く表れないだろう。孤独な心に深く響く音楽。生の演奏を一度でいいから聴いてみたかった・・・。

グレン・グールドの映画が呼び覚ましたもの。世俗と相容れない孤高の・・・、果てのない美の追求。自分に芸術家の資格がないとしても、浮世離れしてると非難されても、自分にとって醜悪にしか思えない世の出来事は全て拒絶して生きようと決めていた、若き日の私。傲慢だったけれど。純粋だった。

年末に生けた小さな花束。少しずつ、ゆったり表情を変えていく。きゅっと締まった蕾が、ふわりと華やかに綻んで。花びらの色も淡く濃く、複雑に変化する。毎朝、水を換え、切り戻すうちに丈もすっかり短くなり。バランスが異なると見える顔も違ってくる。知らず、その姿に「ありがとう」と声をかける。

質の良いもの、美しいものを見分ける眼力は、それなりに培ってきたと思う。なのに、そうでないものを敢えて選ぶ自分・・・。真に美しいものは、厳しい。哀しい。その深淵に触れると、極上の歓喜とともに絶望が生まれる。それに耐えることが年々しんどくなる。美を受け止める靭さを持ちたいと切に願う。

「孤独」なんて。今は流行らないのだろう。「絆」が生み出すものは、もちろんあるけれど。「孤独」の中からしか生まれないものもある。「孤独」は淋しいものでも、哀れなものでもない。独り、自己の魂と深く語り合う時間を持つことで、ゆっくりと時間をかけて熟成されていく、貴く美しいものがある。

グールドの弾くバッハばかりを聴いていた頃の私。
今思えば恥ずかしくなるほどに、自分の世界に生きていました。

世俗を激しく憎んでいて、周囲の人間と交わる気など毛頭なくて。
顔にも表れていたらしいです・・・「私、あなた達とは関わりたくないの」と。

どこへ行っても浮き上がっていました。本当は、淋しかったはず。
独り、異国に放りこまれたかのように、馴染めずにいて。

自分の態度のせいだとわかっていても、改めることは出来なかった。
孤独の中にしか、私の信望するものは存在しないと思い込んでいた。

青春時代の過ごし方としては、推奨できるやり方ではないけれど。
それでも開き直りではなく、冷静に、たぶん、また生まれ変わっても、
私は同じように、若い時を過ごすのだろうという気がします。

「和気藹藹」というのは憧れではあるのですけれどもね(笑)

あの頃の私は苦しんではいたけれど、不幸ではなかったし。
たくさん、一生の心の糧になるものを秘かに育んだと思います。

他人と交わることで得られた宝を、私は犠牲にしたかもしれないけれど。
それが少しも惜しくないといったら、偽りになるけれど。
持って生まれた性分に似合ったように、過ごしたのだと思います。

懐かしいな・・・あの頃の、
「自分には若さなんてない」と思い込んでいた、若かった私。

関連記事

「持って生まれた性分に似合ったように、過ごしたのだと思います。」

それこそ、もっとも出来にくいことではないでしょうか。
持って生まれた自分の性分というものに早くから気づかれていた彩月さんは
早熟な少女だったのでしょうね。
自分が何なのか、どうしたいのかがわからなくて
本当には馴染めない他人の中にまぎれては
つかのまの安心を得ている若い人も多いでしょう。

私も、孤独は必要で尊いことと思います。もっとも大切にしていることでもあります。
誰でもそうだと思うと、孤独な人間同士の弱さやいとおしさもつのります。
2012.01.09 13:13 | URL | ハル #JyN/eAqk [edit]
ええ、本当に。

孤独についてのつぶやきを「お気に入り」に登録して下さった方が、
思いのほか、たくさんいらっしゃいました。
同じ思いでいる人は、私が思うより多いのでしょう。

人とのつながりも大切にしていたいのだけれど。
まず「自分」をしっかり見つめて捉えていないと、
「絆」というよりも、「慣れ合い」になってしまう・・・

私は天の邪鬼で。「安心」することが嫌いでした(笑)
不安でいることが常態になり過ぎていて。
それはそれで、褒められたことでもなかったですね。
「不安」でないことが「不安」という風でしたっけ。

見せかけではない「安心」「安定」は、自分のためばかりでなく、
周囲の人のためにもなるものなのですよね。
それが身につくようになれたらいいな・・・と思います。
2012.01.09 19:09 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]


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