Loading…
 

告白  湊 かなえ

4575236284
双葉社
Amazon

今更・・・感、バリバリですが。読んでみました。
いや、正直、読むつもりはなかったのです。
読まなくても、私は嫌いなタイプの小説だと判断できたので。

あ。言わでもがなですが。嫌い=粗悪ということではありません。
だけど。題材の扱い方や切り口が「あくどい」んじゃないかって。

読み始めてまず、「うっわーきっつ~」と思いました。
やだナニこれ、やだわ、この女!

被害者の女教師、私、かなり嫌いです。
愛娘を殺された女性に、同情の気持ちが湧いてこない・・・

これも、作者の計算のうちでしょうけれども。

出てくる人間、みなエゴの塊。
それがまぁ、思い当たる節はあったりもするので、
いっそう激しく吐き気がしてきます。

人間って、身勝手なもんなんです。それを否定するつもりはない。
しかしねぇ・・・これでもか、これでもかと襲いかかってこられると・・・

最後の女教師の語り、私は映画は観ていないけど、
松たか子の口調で脳内再生されてしまい・・・うわぁ「嫌だっ!」と
頭を抱えてしまいました。

正論をふりかざして、カツカツと、畳みかけるように。
相手の逃げ場を刻々と封じるように滔々と喋る・・・あ~ヤダ。

いえ。みーんな。嫌ですよ。

何が嫌かというと。自己愛の激しさ・・・ではなくて。
それは当り前のことだから・・・「歪んだプライドの高さ」かな。

周囲の人間を馬鹿にして。自分の方が上だと思う気持ちの醜さ。
そして・・・それが否定されることに耐えられない弱さ。
何よりも「バカにされることが悔しい」という浅ましさ。

「優劣」で勝敗を決める。それが現代社会のあり方で。
その中で生きることが、こういう人間を作り出す・・・と言いたいのか?

しかし。そういう価値観に反対する立場の人間も登場はするのだが。
残念ながら、その人たちにも負けず劣らずの嫌悪感を感じる。

まぁ。読後感が悪いというのは耳にしてはいたが。
よくも、これだけ人間の嫌な部分ばかり並べたものだ。

好きじゃない。断然、俄然、まったくもって、こういう作風は好きじゃない。

だけど。一気に読ませる展開と筆力はある。面白いとは言える。
読む前に予感した以上の「あくどさ」だけれど、それが持ち味になっている。

どうしたって好きになれない登場人物たちではありつつも、
自分がそのうちの誰であっても、さほど不思議でないかも・・・と。
絶対にそんなはずはないけれど、ちょっと思えるくらいのリアリティがある。

現実にも、こういう人間が増えていて。
小説だから・・・で一掃できないくらい、ひどい事件も起きていて。

上手いですよね。読者の気持ちを次々に裏切って行く手並み。

それでも。わかってたことだけど。もう何度も言ったけど。好きじゃない。
その理由は。読者を迷わせる余白がないこと、かな。

主題とか、結末とか、人物の描き方の後味の悪さっていうのはね、
別に珍しいことではないと思うし、そういう話が私は必ずしも嫌いではない。

「あの時、もし・・・」と。深く、悩まされる、分かれ道がない。
いや、著者は作ったつもりかもしれないけど。
これでは、ただの地獄への一本道にしか見えない。

救われないんだけど、救われる道があったかもしれない、という余地。
これを感じさせるか否かで、読者に伝わってくるものの深さが違ってくる。

残念ながら、それがなかった。

著者のなかで、答えを決めつけてしまっている印象。
しかも激しく「負」に偏った形で。断罪してしまっている。
読者に答えを探させるのも・・・大事だと思います。

(2012.1.26)
ご本人をTVの公開録画で直に拝見したことありますが。
全然、こんな話を書きそうもない女性なんですよね。
正直・・・また読みたいと思う作風ではないのですけれども。
思った以上に「読ませる」筆力を持った作家さんでした。


関連記事


  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://raffiner.blog70.fc2.com/tb.php/1357-767852c2

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

表示中の記事

カテゴリ

最新コメント

データ取得中...

月別アーカイブ

***