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つぎはぎ仏教入門  呉 智英

2012.02.04 仏教   comments 4
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私。仏教には正直なところ、さして興味がありません。
家に仏壇もないし・・・ 自分の先祖が、どこの宗派か知りません。

祖母の影響で、精神的に身近なのはキリスト教ですが。
クリスチャンではありませんし、むしろキリスト教も苦手かも・・・

これは話せば長くなるのですが。
キリスト教に出会う前に、信じていた神様というものがありまして。
言ってみれば、自分で作っちゃった神様。
どうやら、ベースはキリスト教ではあるようですけど。

西欧の児童文学ってキリスト教の色が濃いですからね。
そこから、エッセンスと様式を得て、自分の心で育てた・・・
まぁ言ってみれば「私だけの宗教」ですか。

いや。宗教っていう概念は無かったので。神様を信じていただけ。
それが、学校や教会で正式に(?)「イエス・キリスト」に出会った時に、
「これは私の神様じゃない・・・」ってことになったのです。

今は笑えますが。結構、深刻な葛藤がありましたよ。
神と神のバトル。自己内・個人的・宗教戦争、勃発。
なんて言うと、信仰してる人に叱られるかなぁ。

近いのだから「私の神様」から「キリスト教」に移行できそうなものですが。
私としては、「譲れない」部分があった。「納得できない」部分があった。

あ。いかん。どんどん、本の感想からズレていく。そもそも入ってない!
さ、そろそろ本題(本書の感想)に行きましょう。

著者は、仏教を信じていない人です。
だから冷静に書けると自負してらっしゃいまして。その通りだと思います。
「つぎはぎ」とおっしゃいますが。仏教全体が俯瞰できます。

キリスト教との比較も、よく出てきますが。
「仏教は覚りの宗教、キリスト教は救いの宗教」というのはわかりやすい。
ここまでなら、まぁ聞いたことある範囲の捉え方ですけれど。
仏教にキリスト教の影響が・・・というところは、ハタ!と膝を打ちました。

「愛」の概念も仏教では、「執着」のことであって捨てるべきものなのですね。
仏教がきわめて理知的な宗教であることも得心が行きました。
生まれた時から矛盾を内包した教義であることも。
・・・ってまぁ、どの宗教でも、そうですけれど。

そもそも、つまるところは釈迦の教えは現在の仏教に、殆ど残っていない。

大乗仏教と小乗仏教の違い、禅宗は?
とてもわかりやすく、整理されて頭に入ってきます。
その上で著者は現在、そして今後の仏教に警鐘を鳴らしている。

無神論者が仏教を行く末を案じるってのも、おかしなもんだけど。
神を信じない人間にも、信じられる「宗教の役割」ってものがある・・・と。

宗教は、結局「組織」でしかあり得ない。
その組織を守るために、時代と共に変貌せざるを得ない。
私は、たぶん、そのことがどうしても受け入れられなかったのだと思います。

それは、仏教、キリスト教に限らず、どの宗教でも同じこと。
集団に属すことを嫌う人間には馴染めない独自の社会性を持っている。
そして年月と共に、それを大きく育んで行く・・・

さて、本書の中で私が、へぇぇ~と感心したことは。

・「愛」「必要悪」という言葉の本来、意味していたもの。
・なぜ、仏があんなにも増殖したのか。
・枝分かれし派生した宗派がそれぞれ、意図し目指したもの。
・「輪廻」「悪人正機」・・・時代を経て捉え方の変化した概念。

面白いですねぇ。考えさせられることは多々あります。
乱暴過ぎることを承知で敢えて言うと、仏教はかなり哲学的ですね。

現在の私は信仰を持ちませんし。神を信じませんが。
「神を信じる気持ち」を持つ人は、少し羨ましくは感じます。

「宗教」という器なく「神」を信じることは、一見、純粋で美しくも見えつつ。
煎じつめてしまえば、「自己愛」に収斂されてしまうのでしょうね。
人それぞれの捉え方があると思いますので、断言はしませんけれど。

だから。もう。神を信じない・・・というのも、それは。
裏返せば、自分を信じないということでもあるような。
(あくまでも、私個人の話、です)

いえ。そういう理屈ではなく。ある日、気が付いたら心に神はいなかった。

脱線しまくりましたが。本書を読んでいて。
信じていたものが消える・・・その過程についても思い巡らしました。

(2012.2.4)
個人的な感慨に終始してしまい、申し訳ありません。
「仏教入門」と聞いて思い浮かべるより、遥かに知的な読み物です。
呉 智英さんの本、初めて読みましたが。他にも読んでみたくなりました。
読み解き方と論説の展開が明快で爽やかで・・・お上手です。
この本、私にとって「仏教入門」でなく「呉 智英入門」だったかも(笑)
仏教を知りたい人にも、もちろん全力で(!)お勧めです。


関連記事

呉智英・・よいですなぁ。
このヘンクツなオッサン(失礼)の著作は、どれも刺激的で、
以前、集中的に読んだことあります。
論説が尖がっていて、文章にはキレも芸もあって愉しく読めました。
紹介されているこの本も、やはりおもしろそう。
彩君もこのヒトの味がおもしろく感じられたご様子で・・爺と仲間ですな。

まあヘンクツなヒトの書くものは、おもしろい本が多いですなぁ。
たとえば岸田秀の著作など、ほとんどトンデモ本として読みましたが、
論説の奇抜さには芸があって読んでいて愉しかった。
(マジメに読んでいるヒトいたら失礼・・怒られる)。
2012.02.04 20:31 | URL | nao #6gL8X1vM [edit]
おお~っ。好みが合いますねぇ。
呉智英さんは、一読して気に入りましたよ~。
そうか。そうだな。ヘンクツな人間はヘンクツなものを好むのだな(笑)

わーい。楽しみが増えました。
評論は、ウダウダしてないのが好きです。キレ味、重要!

そうそう。トンデモ本も、そうと理解した上で読めば楽しい。
あ。トンデモでないと思う人も・・・いるわけですよね。
自分の中でも、どの辺りからがトンデモ本かは謎。

うん。私、評論、読むの好きなんだなぁ。(→今更)
岸田秀さんも、今度読んでみよう~
2012.02.04 20:57 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]
仏教全体が俯瞰できる本ですか・・・
読んでみたいですね。

ご紹介ありがとうございます。
2012.02.04 23:16 | URL | タッキー@自己啓発&感動大好き #JyN/eAqk [edit]
仏教って、なんかよくわからないですよね・・・
すごく読みやすくて面白いので、機会があれば、ぜひ。
2012.02.05 17:10 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]


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  • 2012年02月04日 (土)

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