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アンナプルナ登頂   モーリス・エルゾーグ

4001130548
岩波少年文庫
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ジャンルとしては、山岳小説ですね。
もともと大人向けに著者が口述筆記した本があり。
それが好評だったので、少年少女向けに出版したものが本書。

ですが。少年少女向けな気配は、感じられません。
もちろん、良い意味で。

人類初の8000メートル峰登頂記録を作った際の遠征記なのですが。
怖い、痛い、寒い、助けて~と絶叫したい気分になります。
後半の迫力・・・泣きそう・・・いや、涙ぐみました。

極限状態の自分を、よくぞこれほど冷静に描写できたものだと感心する。

山の美しさは、魂を魅了する。
登山の経験のない私にとって、それは想像の中の夢の世界に過ぎない。
文章で伝えられるようなものでは、到底ないのだとも思う。

それでも。生死をかけ、自己の尊厳のぎりぎりの淵に直面してでも、
山を登り続けることを選ぶアルピニストの姿が、どんな美辞麗句より、
鮮やかに、言語を超越した山の美を伝えてくれる。

山を登ることのない人間にも。垣間見える山の頂。
「生き方」を問われているかのように感じるのは気のせいではない。

著者も、終わりを告げた冒険を、こう締めくくる。
「人間の生活には、他のアンナプルナがある・・・」と。

(2012.2.19)
作者のモーリス・エルゾーグは登頂当時、31歳。若き隊長でした。
のち、フランスの初代スポーツ担当大臣にまでなった人です。
この遠征の時のメンバーに、ガストン・レビュファもいました。
私は彼の著作「星と嵐」が大好きなので。ついつい、レビュファの名を、
本作の中でも追ってしまいました・・・

過去記事で紹介しています「星と嵐」レビュファ 
とにかく美しい。詩の心に満ちた山岳小説。

この本の大人向け?がこちら。
処女峰アンナプルナ―最初の8000m峰登頂処女峰アンナプルナ―最初の8000m峰登頂
モーリス エルゾーグ
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最後に。モーリス・エルゾーグの名言。この遠征の後に語った言葉です。
「他人は、失ったものに目を向けますが、私は得たものに目を向けます」

本書を読むと、彼のこの言葉の重みがずっしりと響きます。 



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  • 2012年02月21日 (火)

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