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人生論手帖  山口 瞳

Posted by 彩月氷香 on 21.2012 その他や行の作家   0 comments   0 trackback
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河出書房新社
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古本屋で見つけた本ですが。
まず、なによりも装丁に一目惚れしました。

小泉癸巳男の『東京百景』の中の一枚が使われています。
って、この装丁を見て知った版画家さんなのですけど。
『東京百景』を収録した本があるらしく。
欲しいなぁと思いましたら・・・アマゾンの中古価格¥39,978!

あ、肝腎の内容は。何と言っても。山口さんならではの。
淡々とした辛口トーク。このさりげない毒に憧れます。
なんと鋭い。手厳しい。優しい。

串田孫一氏の思い出話などもチラホラと出てきます。
もしも読む方のために秘密にしておきますが。
向田邦子さんのエピソードにもドキッとしました。

長々と語らない。でも核心をズバッと突くのでもない。
周辺をうろうろしていたようなのに、いつの間にか「着地」してる。

どこに?うーん。うーん。

ええとね。なかなか公けには口にしにくい真実。
だから・・・どうしても「毒」になるのだけど。
その表現というのか、切り口というのか。上手いんだなぁ。

私が同じことを言おうとすると、けんもほろろになっちゃう。
こういう・・・愛嬌と悲哀を滲ませた毒舌。羨ましい。
さらりと口にしてるようだけど。かなりの高等技術ですよねぇ。

著者が身近なことを語った随筆集。
一篇がとても短いけれど。うっとりする美文ではないけれど。
こんな風に書けたらいいなと思う文章がぎっしり詰まっています。

伝えたいことをどう表現するか、と考えた時に。
自分のことを語りながら、もっと大きなことを実は語っている、
それが尊大でもなく、卑屈でもなく、滑稽味を纏っていて。

だから・・・うん。
言い難いことは堂々と言えばいいってもんじゃないのね。
正面切っての発言は一見、格好いいようだけど・・・

かといって。気を遣い過ぎて回りくどくなるほど、
何を言ってるのかわからなくなって、ただイライラさせられる。
勘のいい人には察せられる真意が、ただ反感を呼ぶ結果になる。

山口氏の文章の面白さが、ほろりと苦い。
何気なさを装って。どれだけのものを込めているか。
「書く」苦しみ。「書く」病。書かずにはいられない「業」。

本書の中の「綴り方少年」という一篇の中の一節。
「木山捷平さんは、書くときはヤケクソになって書くといっておられた」

だから私も見習ってヤケクソ、っていうわけには・・・いかない。
ヤケクソへ到達するまでにも、長い長い道のりがあるのだと思います。

(2012.3.30)
随筆というものが、もともと好きです。
日常の、誰の身の上にも起こるようなことが。
胸に迫るほど、心に沁み透るほど、文章で再現できることに。
なんだか、魔法を見せられたような気持ちになります。
当たり前と思っていることの、当たり前でない側面を見せてくれる。
あるいは気づいていたけれど、カタチならずモヤモヤしていたものの、
輪郭を描いてみせてくれる・・・その技量が眩しくて、ちょっと悔しい。



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  • 2012年04月21日 (土)

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