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ヒヤシンス・ブルーの少女  スーザン・ヴリーランド

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早川書房
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世に知られていない、一枚の絵画。
フェルメールの手で生み出されたその瞬間から、
正当に評価されることなく、人々の手を渡り歩いて行く。
その道のりを現代から遡りながら、歴代の所有者の日常を描いている。

値打ちを認められていなくても。
絵に宿る静謐な光は持ち主の心をとらえる。
絵の中の少女は、とりたてて美しいわけではないのに・・・

その絵を持ち続けることは誰も叶わない。
愛着のある絵と暮らすより、差し迫った必要が生じる。

心を癒す比類なく美しいものも。
人は手元に置き続けることはできない運命なのか。
美を所有することなど、そもそも不可能なのだと、
暗示しているかのようにも感じられる。

しかし、出会っただけでも。
ひとときを共に過ごしただけでも。
真に美しき物は、消えることのない残響を心に刻むのだろう。

掴めないもの、手をすり抜けて行くものに宿る輝きを、
切り詰めた知的な言葉で彫り上げた諸玉の物語。

(2012.4.22)
もちろん、作中の絵は架空のもの。
絵画のような静謐な美を湛えた世界に浸りながら、
本当にこの絵が存在したら・・・と夢想していた。
今どこかに。美をこよなく愛する誰かの手元に。


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2012.05.05 14:22 まとめwoネタ速neo

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

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  • ヒヤシンス・ブルーの少女  スーザン・ヴリーランド
  • 2012年05月02日 (水)

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