FC2ブログ
Loading…
 

調香師の手帖 香りの世界をさぐる 中村 祥二

4022615834
朝日文庫
Amazon

あ。ここ、いい表現だなぁ。気になるな。覚えておきたいな。
詳しく後で調べたいな。この人、好きだなぁ。

・・・などなど。何か、ちょっとでもアンテナにひっかかると。
すかさず私は付箋を頁に貼り、読書を続行します。

気になる箇所に線を引いた方が早いと思うのですが。
生まれてこの方、教科書以外の本に書き込みをしたことはない。

本を大事にしましょう、と教えられたわけではなくて。
ただ、思いつきもしなかったのです。
物心ついた時には、「紙を挟む」という癖がついていました。
私の幼少時には付箋なんていう便利なアイテムはなかったんです・・・

そこらにあるメモ帳やら、ショップカードやら。
目に入る紙をはさみ、足りなくなるとそれを千切って使う。
結果、得体のしれないギザギザの断面を見せる紙片で本が膨れあがる。

今は付箋を大量にストックして。本とともに持ち歩く。
しかし、うっかり忘れることもあり。
メモ用紙があればそれを代用。それも無い場合・・・
本によく挟まれている愛読者カードなるハガキを細かく千切る。

で。ですね。これは私の読書の基本姿勢なもので。
たとえ人目のある場所でも躊躇せず、否、半ば無意識にやっている。
冷静に客観的に省みますと、これはかなり怪しげな行動?

電車の中で、いきなり本を読みながら紙をビリビリ千切り始める、
不審な女性を見かけたら・・・たぶん、それは私です。

もっとも。読み終えてみて、付箋がゼロの本もあり。
だからと言って、その本が面白くなかったとも限りません。
平均で言えば、3〜15枚くらいに付箋の数は収まります。

が。ごく稀に。本が太る勢いでビッシリ貼ってしまうことがある。
付箋を握りしめながら、読んで貼って、貼って読んで・・・
忙しい。さぞかし、傍目には鬼気迫るものがあるだろうと思う。

この本が、まさにそれでした。
しかも私の読書史上、記録に残る・・・いや最高記録ではなかろうか。
好奇心で付箋を数えてみましたら、なんとまぁ80枚!
こ、これでも。もっと貼りたいのを我慢したのですよ。

すみません、本の内容に関してはここからやっとスタートします。
著者は資生堂で長年研究生活を送った調香師。
香りに関しては紛うことなきスペシャリスト。

専門知識のない人間にもわかるように平易な言葉を選んで、
しかし噛み砕き過ぎる事無く、その深遠な世界を案内してくれる、
いわば、香りの世界への良き入り口となる書物。

香料のことはもちろん、花のこと、植物のこと、体臭のこと。
記憶と香りの関係、香りと性のかかわり、感情が香りを変化させること。
何もかもが新鮮で、著者の筆致ゆえか清々しいような印象を受ける。

著者のあとがきの言葉の要約になってしまうことを、
前もって断りつつ、この書物の成り立ちを述べますと・・・。

研究者として、まず香りを情報としてとらえ、
それが人の心に果たす役割を考えながら、
無関心な人も香りの世界へと踏み込んで行けるように、
わかりやすい言葉で、折りに触れて感じたこと書いたもの。

と、まぁこのようになります。

分かりやすいということは、いってみれば、科学性を踏まえて理由を論理的に説明出来ることだ、と私は思う。特殊な才能や、名人芸を強調することで読者を迷路に誘い込んでしまうようなことは、香りの民主化のために力を尽くしてきた先輩の香料研究者たちの本意ではなかろう。

著者のこの思いが空回りすることなく、実を結んでいます。
読んでいるだけで、芳醇な香りに包まれるような贅沢な書物。
一気に読んでしまうのが惜しくて。毎日ちびりちびりと読みました。

(2012.5.20)
中村氏は書物や文献で出会った香りの実物を訪ね歩いていて。
「ナルドの香油」や、ダビンチの「受胎告知」に描かれている、
マドンナ・リリーの香りなど、珍しい香りについても触れています。

関連記事

調香師とは関係ありませんが

付箋などに関しては、同感です。

その本への興味と付箋の数が比例しない点や、
メモや紙切れを挟む点など
私の蔵書の状況と、全く同じですね。
若い頃読んでいた本から、
広告の切れ端が出て来ることもしばしばあります。

2012.06.01 21:06 | URL | kappamama #JyN/eAqk [edit]
「付箋派」のお仲間発見!(笑)

ええ。時々、昔読んだ本から面白いものが出てきますね。
展覧会のチケットとか、書店のレシートとか。
広告の切れ端も・・・あります!

図書館で借りた本にも挟むので^_^;
返す時にちゃんと全て取り除かなきゃと気を遣います。
2012.06.05 10:43 | URL | 彩月氷香 #- [edit]


  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://raffiner.blog70.fc2.com/tb.php/1509-00892237
朝日文庫Amazonあ。ここ、いい表現だなぁ。気になるな。覚えておきたいな。詳しく後で調べたいな。この人、好きだなぁ。・・・などなど。何か、ちょっとでもアンテナにひっかかると。...
2012.06.01 19:53 まとめwoネタ速neo

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

このサイトはAmazonアソシエイトに参加しています。

表示中の記事

  • 調香師の手帖 香りの世界をさぐる 中村 祥二
  • 2012年06月01日 (金)

カテゴリ

カテゴリー 月別アーカイブ

 

***