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壜の中の手記  ジェラルド・カーシュ

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晶文社
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読み始めてから読み終わるまで。
数ヶ月の月日が過ぎました・・・

この本が図書館で借りた本じゃなくて良かった。
返却期限がないと、こういう贅沢な読み方が出来る。
すなわち、気が向いた時に。少しずつ齧るように。

本書に収められた12編の短篇は。
どれも奇妙で。苦くて。薄気味悪くて。
ありそうにない話なのに、語りの上手さに心地よく酔える。

題材はむしろ、どこか古めかしく、懐かしい。

いい意味で。洗練され過ぎていない。
切り口が鮮やか過ぎないからこそ、余韻を残す。

ブラックユーモア、と呼んでもいいのだろうが。
それだけで表現するには勿体ない・・・何かなぁ?
どう言ったらいいのかな・・・えーと。

ねじれた愛らしさ? 

醜い怪物が、妙に哀しげであるように。
この不気味さの奥に優しさを感じる。
不思議と。ほっ、と・・・心が寛げる。

どの話も「こっそりと語られる」という形式で。
その秘密の打ち明け話めいた風情も好きだ。

うっかりと。聞かなければ良かったような。
怖い話を。哀しい話を。耳にする悪運に見舞われたような。

聞いたからとて、人生は変わりはしないのだけど。
他人事だからとて、忘れることなど出来ないような。

貝殻を耳にあて、海の音を聞く・・・というのに似てる。

そこにあるはずのないものを彷彿とさせる音色。
海の映像を見る、というのではあまりにも直截的で。
かえって、海は遠くに感じる・・・ように思う。

貝殻や、小石を手に持った方が海の思い出が近くなる。

へんな例えだけれど。そういう具合の距離感。
「怪奇」「怪異」であっても、遠くない。でも近くない。
あってもおかしくない・・・ということは全然ないけれど。
何か親しみを感じられる。壁一枚向こうの身近さ。

つまるところ・・・この本が好き。

(2012.10.15)
「豚の島の女王」「破滅の種子」「時計収集王の死」。
なかでも、この三編が特に私のお気に入り。
でも、きっと。またいつか読み直せば。
その時に好きだと思う話は違うかもしれない。

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  • 2012年10月24日 (水)

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