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『功利主義者の読書術』佐藤 優

2012.08.29 佐藤 優   comments 2
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新潮社
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著作を読むたび、佐藤氏の知力には圧倒されます。
読書家としても憧れを通り越して、神々しい存在。

「功利主義者」という枕詞にギョッとした方もあるかもしれませんが。
彼の理論によると、「功利主義者の読書術」が意味するところは、
「神が人間に何を呼びかけているかを知るための技法」となります。

そうなんですよね。この明晰で洞察力に優れた頭脳に、
「キリスト」が住んでいるというのは不思議な感じがします。
一方で、彼の書物を読むとそのことが強みになっているとも思う。

取り上げる本も、かなり意表をついてきます。

マルクス「資本論」、チャペック「山椒魚戦争」、「新約聖書」、
ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」、小林多喜二「蟹工船」、
・・・この辺は、わかりますけれども。

綿矢りさ「夢を与える」、石原真理子「ふぞろいな秘密」、
レイモンド・チャンドラー「長いお別れ」「ロング・グッドバイ」
酒井順子「負け犬の遠吠え」
・・・ここらになると、んんん???

読む対象に関わらず、そこに自分の問題を見出すというのが
私の読書の常に変わらない基本姿勢なのですが。
佐藤氏はそれを遥かに高度な次元で実践なさっています。

あ。「長いお別れ」と「ロング・グッドバイ」は同じ!と思った人?
確かにそうなんですけど、翻訳者が違います。
前者が清水俊二、後者が村上春樹です。

私、村上春樹の翻訳がやや苦手で、清水氏の方を読んだのですが。
本書を読んで、村上春樹訳も読まなきゃ・・・と思いました。

本の紹介ではなく、「読書術」の指南なわけでして。
紹介されている本を読む必要は特にないと思われます。

また、佐藤氏と同じ読み方をする必要もまったくないし、
彼一流の見事な読み解きに賛同しなくたって構いません。

自分の中に常に「問題意識」を持ち、それと対峙している人は、
どんな本からも学び、思索を深めることができる。
全く関係のないようなものを並べても、類似性を見出せる。

その書物が(著者が)何を語りたいかを探索するのでなく、
その書物から、自分なりの理解や思想をつかむ・・・いや、
そこから生み出して、構築することができる。

ある意味、書物をとことん、利用する・・・自分のために。

私は、こういう読書が好きです。
佐藤氏が示しているような、読書の姿勢に強く共感します。

書物に内包される思想を蔑ろにしてるかのような表現に
なってしまいましたが、決してそうではありません。

ただ、時によっては「彼によって読まれた」対象が、
それによって価値を増したと錯覚するような現象はおきています。

また彼のパーソナリティーゆえに、その読書の色は社会性が濃く、
その意味では難しい話になっている部分もあります。

取り上げられた本のうち5冊は私も読んでいましたが。
まぁ・・・佐藤氏と比べると百分の一も、
「読めた」とは言えないですよねぇ・・・。はぁぁ・・・。

それでも自らの知力を精一杯に動員して読書をしたいものです。

(2012.8.13)
佐藤優氏の本は、とにかく知的興奮をかき立てます。
紹介されてる本を読まなくてもいいと申しましたが、
しっかり登場した本を読みたくなりました。再読も含めて。

読むきっかけを失して現在に至っている綿矢りささんの本と、
亀山郁夫氏の翻訳の「カラマーゾフの兄弟」をまず読みたい。
(「カラマーゾフの兄弟」は昔、他の人の翻訳で読みました)

本書に貼った付箋の数・・・20枚。


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2012.08.29 21:38 | | # [edit]
佐藤氏の大ファンなんですよねぇ、私。
外交について書かれた物は、特に面白いですね。
この本も、きっと楽しめると思いますよ。

英国本が読み終わってない現状・・・(汗)
もう少ししたら、総括してみたいとは思ってます。しばしお待ちを。

ご紹介下さった本は、絶対に読みます!ありがとうございます。
ヘレン・ハンフ「チャリングクロス街・・」にはうっとりですねぇ。
京都の丸善も懐かしい・・・。

村上春樹氏の翻訳も、ちょっと見直してみますかね。
特にこれ!というのがあればまた、教えて下さい。
彼が訳したフィッツジェラルドを何冊か読んで、さっぱりで・・・

春樹の翻訳でなく、フィッツジェラルドが合わないのかな?
あ。でも、「夜はやさし」は大好きだしなぁ。

ツイート、ちょくちょく迷走してますが、広い心で見守って下さい(笑)
暑さとの闘いは、まだまだ続きそうですね。ファイト!
2012.08.30 08:13 | URL | 彩月氷香 #- [edit]


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