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高台にある家  水村節子

4894568446
ハルキ文庫
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女の生涯、とひとことで括ってしまえばそれまでだが、
何とも豊かな、みっしりと具の詰まったドラマ。
語り手の節子のワケありの出生が、冒頭から仄めかされつつ、
どことなく謎めいた家族の物語が紡がれていく。
少しずつ明かされていく彼女の両親の過去を、肉親たちが鮮やかに彩る。

おじ、おば、係累のはっきりしない、親戚。
可愛がってくれる人もあれば、意地悪な人もいる。
貧しい者も、裕福な者も、健康な者も、そうでない者も。
奔放な生き方、忍ぶ生き方、身を律する者、欲望のままに生きる者、
そのどちらにもなれず、揺れ動く者・・・。
人間模様は、艶やかで多彩で、描かれない部分も想像させる奥深さがある。

やがて、この物語の本当の主人公が節子の母であることに気付かされる。

この小説の背景を全く知らずに読み始めた私だが、
すぐ、これが実話であることを直感で理解した。
しかし著者名を気に留めておらず、あとがきを読んで、びっくりした。
え!ええっ!水村美苗のお母さんなの、節子さんて!!

偶然にも、私がこの本を読む直前に徹夜して読んでいたのが、
水村美苗の「本格小説」なのである。

そういえば、「本格小説」を読みながら、
これは作者はきっと、並みの育ち方をしてないんじゃないか、
と漠然と感じていたのが、思いがけないカタチで証明されたなぁ・・・。
美苗さんにとっては、祖母の物語、なんだけどね。
ほんとうは、自分が書きたかったのに、母に先を越されたんだそう。

なにしろ、面白い。

(2010.5.11)
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時々、写真や雑記も。

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  • 高台にある家  水村節子
  • 2010年05月14日 (金)

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