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とむらい機関車   大阪圭吉

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創元推理文庫
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読むまで知らなかったのだけれど古い作品。
そう。著者はなんと、戦前の探偵作家なのでした。

古さゆえというばかりでもなさそうな、独特な雰囲気。
私・・・好きです。なんか馴染みます。

表題作は、なんとも・・・
これはこれは・・・としんみりしました。

小説以外に随筆も収められていて。
こちらも、かなり良いです。妙に共感します。

随筆で良かったのは「停車場狂い」。
著者は旅には出ずに、駅をぶらぶらして旅気分を味わう、
という趣味?道楽?をお持ちだったりするのですが。

その趣味に合う駅について述べていて。
東京駅では駄目だとおっしゃる。その理屈は以下の通り。

人も建物も、「旅」を覚えさせない。あそこにいる人々は、誰も彼もハリ切って忙しそうに見える。その人々の顔には、旅そのものよりも、目的地ばかりが生き生きと輝いている。全くやり切れない。

そして、上野はいい、と続くのですが。
現代の上野駅を観たら、彼はそうは言わぬかもしれないな・・・

「二度と読まない小説」という短いエッセイも素敵。
私が思わず膝を打って、感心したところを引用します。

「宝島」が私に与えて呉れる溌剌たる思い出は、同じ作家の探偵小説なぞ、かなりの距離に押しのけてしまいます。それどころか涙というものの不思議なカラさを味わいながら感激にひたったいろいろな小説、それ等は誰でも一度は読んでいるような極印づきの傑作であり、自分でもずっとあとになってから感銘を以って読んだものでありながら、それにもかかわらずそれ等の名作にも劣らぬ鮮やかな印象を、遠い昔の「宝島」が与えて呉れようとは、われながら不思議に思うくらいであります。恐らくこの理由はただひとつ、それはその小説が必ずしも「宝島」であったからではなくて、その小説を子供の時に読んだからではないかと思います。或る意味では、子供の清新な感受性くらい、優れた名翻訳家はいないと思います。その意味で、この小説は、二度と読まないでおくつもりでおります。

「子供の清新な感受性くらい、優れた名翻訳家はいない」
これは名言です。すごく、すごく、すごく、よく分かります。

私は読まないでいる、と言い切れずに。
恐る恐る読んでみようとしてしまう性分ですけれど。

(2014.7.24)
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  • 2014年10月21日 (火)

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