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独学でよかった  佐藤忠男

Posted by 彩月氷香 on 01.2015 自己啓発   0 comments   0 trackback
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三交社
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読書と映画が好きだった著者。
家庭環境に恵まれてもおらず、大学を出た訳でもない。
しかし映画の評論家となり、日本映画大学の校長になった。

独学だからこそ学べたことがたくさんある。
大学へ行かなくて良かった、と著者は言う。

それは誰にでも当てはまることではないと思う。
著者の場合は良かったのだということは認めるけれど。

著者の来歴が読書歴とともに語られる。これは面白い。
高尚なものをありがたがって読んだり、
背伸びして読むことがないのは珍しい印象を受ける。
あ、あくまで著者の若い頃の話ですが。

私が知っている読書家はいわゆるインテリの部類なのだな、と。
本書を読んで改めてというか、初めて認識した。

著者が文学を読んでいないというのではない。
文学を当たり前のように読むという層に属していないということ。
古典や名著を堂々と「わからない」と言い切る。
私だったら、わかったフリくらいはするのだけれど。

それが良いというつもりは全くない。
わからぬまま勢いで読み切った古典や名著が山とある。
それでもわからなくても読み通すのが私の性格だった。

読書歴や本の選び方の一部には共感できる部分があって。
人は切実に必要としている本に出会えるというのはその通りと思う。
自分の内的関心や疑問が読書の幅を広げていくというのも。

ただ。何かがもの足りなく思えて。
それは著者が「真っ直ぐ」な人だということだろう。
「迷い」が見えて来ない。自分の必要がわかっていて、直進する。
いや、単純化して書いているからそう感じるだけかもしれないけれど。

明解過ぎるところ、余情を感じないところがしっくりこない。
この人の映画批評を読んだことはないのだが。
私はあまり好きじゃないような予感がする。

ただ。私は以前もある読書家の人の本に反感を抱いたから。
どうも読書というのは個人的すぎる体験で。
公にさらして共有すべきものではないのかもしれない。

こう読め、と上から言われているわけではないのだけれど。
読書家はそれぞれ、自分の読書の道筋を誇る気持ちが内心にあって。
それがついつい、表れてしまうのじゃないか。
(私にも多少自覚はあるので。気をつけよう。)

著者の本の読み方が嫌いということはない。
純粋な書評集のような姿だったら、素直に感心した読めたのではないか。
読書を「独学」と強く結びつけているところに違和感があるのだ。

あ。違和感と共感できない理由がわかった。
著者は「自分の必要」を求めて常に読書している。
探している答えの姿もある程度わかっている。
自分の求めているものから外れていれば、それはあっさり放棄する。
それは言い過ぎでしょうけれど。そういう印象を受けてしまう。

わけのわからないものを、わけのわからないままに読む。
自分には縁もなければ必要も無いかも知れないけれど、
そういう知り得ぬ世界の充分にはわからないものにも、
心を激しく揺さぶられ、敬意を払う、それがない気がする。

何度も言いますけれど「そういう気がする」だけです。

「問い」があって答えを探して本を読み漁る。
そういうスタイルであってこそなせるものは沢山あって。
それが「独学」というものでもあるのかもしれない。

私の中にも「問い」はあるとは思うのだけれど。
佐藤氏のように、具体的で明確なものではない。
だから読書そのものも靄の中を歩くみたいなのかもしれない。

読書をまったくの娯楽とも言い切れない私自身。
何を探して本を読むのかを一度、考えてみるべきだろうか。

ただ言えることは。私はわかりやすすぎるものは嫌いだ。
すっきりと明確過ぎるものは嘘くさく感じる。
わかりやすさはたいていの場合、単純化から生まれて。
シンプルで美しい様式足り得ていることもあるけれど。
ごくごく稀な奇跡のような昇華の姿でない通常の場合、
大事なことをいっぱい切り捨ててしまっていると思う。

「なんとも説明しがたい」
私が感動するものは、たいていそういうものだ。
極端な話、感動するたびに「言葉にできない」と言っていれば。
それが一番正しい感想になってしまう。

それはおそらく誰でもそうで。
それでも言葉にしようと足掻いた結果に辿る道筋は様々なのだろう。

付録の「独学派にすすめる99冊」はなかなか良いと思います。
(そう言っても、このうち私が読んでいたのは26冊でした)

あのですね。長々と書きながら気がついたのですが。
私は佐藤氏や彼の読書指南に反感を持っているというよりも。
「自分の経験が誰かの役に立つのではないかと思います」式の書物が、
どうやら生理的に嫌いなような気がします。

書き手が自らの内的必要に駆られて書いているものとは違って。
なんでしょうね、どうしても説教臭いというか押しつけがましくなる。
本書に関しては本人が、そういう要請があって書いたと述べていますし。
そうならないように努めている気配は感じたりもするのですが。

(2014.1.4)
貶している印象かもしれませんが、決してそうではありません。
感心しつつ違和感があって。そのくらい無視しても良かったのですが。
何となく追求してしまったら、こうなってしまいました。
それこそ、ただ私の感情の問題です。
私は学ぶという意識で本を読んだことがないという、
ただそれだけのことなのかなと自戒してもいます。
著者の映画評論も一度読んでみたいと考えています。
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  • 2015年02月01日 (日)

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