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アサッテの人   諏訪哲史

2015.05.17 未分類   comments 0
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講談社文庫
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外は冬の空模様で、僕は自室の炬燵に入り、日がな一日サミュエル・ベケットを読んでいた。

 人間は何もしなければ死ぬ。死を避けるには食わねばならない。食うためには働かねばならない。当時僕は、人間には「何もしない」ことを選びとることはできない、という万古不易の命題に、言い知れぬ不条理を感じていた。「何もしない」ことで、なぜ人間は不幸へのみ向かわざるを得ないのか。

モンゴル人は悪魔に我が子を奪われないよう、悪魔を欺くために、風変わりな名前をつける。
「名無し」「名前じゃない」「人間じゃない」「だれでもない」

 公休日の今日は、朝から団地の児童公園に日向ぼっこしにゆく。
 お茶の入ったペットボトルと、きのう帰りに佐々木ストアーで買っておいた野菜コロッケ三つ、パウル・ツェランの詩集、そしてこのノートと万年筆。

 彼のアサッテは自意識という名の癌によって、また、のっぴきならない「作為」の刻印によって蚕食されたのである。

クライストのエッセイ『マリオネット芝居について』

以上、何となく心に残った文章の断片。
正直申し上げますと。この人の文体は苦手。
作風も・・・ 所々「受け付けない」。

かと言って嫌いでもない。
じゃあ好きでも嫌いでもない、というわけでもない。

無視し難い何かは感じるのだけれど。
積極的に読みたい気持ちになるということはない。

著者が「書きたい」ことを持っていることを感じる。
そして、面白みはある。哲学的葛藤もある。

私が好きになれそうな要素は結構あるのに。
他の作品を読んでも好きになることはないだろうと確信する。

なんでしょね。
作品に「頑張ってる感」があり過ぎるのですよね。
そこに好意を抱けないわけではないのだけれども。
私が読みたいのはそういう苦心惨憺の跡が見える作品ではない。

良し悪しの問題ではなくて。ま、好みです。

好き嫌いの別れる作家さんだろうなと感じます。
まぁでも。私としては毛嫌いもしないし。
無視して抹殺しようというでもなく、仄かに興味は湧きます。

気まぐれに、もう1冊くらいは読んでみるのだろうな。
そして、やっぱり悪くないけれど好きになれない、と思うだろうな。

自分に近しい感覚も少なからず作品の中に感じ取れて。
だけど、その感覚の処理方法が大きく異なっている・・・ような?

近くまで来てたけど、ギュン、と大きく曲がって。
それこそ「アサッテ」の方角へ走り去っていったという雰囲気。

趣向を凝らしている割に、平凡に見える。
あ、それは言い過ぎかな。才気が溢れてそうなのに、単純。

う・・・ごめんなさい。これじゃ愚弄してると言われても仕方ない。
いい意味でも悪い意味でも、飾り付けの面白い「普通」な印象で。

だ、ダメだ・・・フォローしようとすればするほど貶してしまってる。

第137回(平成19年度上半期) 芥川賞受賞
第50回(2007年) 群像新人文学賞受賞

ダブル受賞は村上龍以来なんですって。
そういえば、村上龍も私が大の苦手の作家でしたわ・・・
だけど、受賞作だけが好き嫌いを越えて、凄いと思ったのですが。

なんだろうな。なんだろうな。気になる違和感。
不器用な作為なのか。不器用に見せかけている作為なのか。

どちらにしても。
私は表面が滑らかなものを好んでしまう弱点があるのは確かです。

(2015.3.18)
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  • 2015年05月17日 (日)

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