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日々の非常口  アーサー・ビナード

2015.06.02 未分類   comments 0
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朝日新聞社
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切り口と語り口の素敵な、エッセイ集。

知らなかった〜。
「salad days」という言葉は、
シェークスピアの『アントニーとクレオパトラ』の名台詞だとは。

クレオパトラが「あれは見る目がまだ青く、
血もまだ燃えることを知らなかった、わたしのサラダ時代の昔の話」と、
アントニーに出会う前の自分のことを語る場面があるそうで。

著者は、俵万智さんの「サラダ記念日」を読んだ時に、
てっきり、ここからヒントを得たんだなと思ったそうです。
でも、後書きにも献辞にも「シェークスピア」の名はなかった・・・と。

外国人として日本に暮らす中でのあれや、これや。
楽しく、時々、チクリ。気付かされることがたくさん。

飛行機の搭乗口でのチェックでも。
骨までチェック(!)の列には有色人種ばかり。
さらにヒゲをはやしていると、間違いなくひっかかる。

それで白人ながら色が茶色めな著者は、
わざとヒゲをはやして飛行機に乗ってみたそうな。
案の定、厳重チェックの列へ並ばされる。

観察していると自分と同じ列には、
恐ろしい打率で、有色人種が送り込まれ、
ホワイトは「適当チェック」のほうへすいすい通されていた。

このエッセーのタイトルが「機内色」というセンス!

他にも「月極駐車場」があちこちにあるので、
東京の市場を独占しているチェーンだと思っていた。

「げっきょく」というオーナーがいるのだろうと・・・

たまたま青森で「月決め駐車場」という看板をみかけて、
辞書を引いて、間違いを知ったのだそうな。

かくして、一瞬で一大企業が消えた。

うん、なんか言葉のチョイスのセンスのある人だわ。

英語は常に主語が必要で「誰が」を言うがために、
日本語より我が強く、それが俳句に向かないというのも成程!

あとは、いいなと思ったエピソード。

著者にとっては、
丸木スマさんの「ひまわり」の方が
ゴッホの「ひまわり」より印象が強烈。

「わたしが数えるのは輝く時間のみだ」という言葉が
祖父母の家の裏庭の日時計に刻んであった。


それから、いいなぁと思った文章もひとつ。

「大きな真実はいきなり、閃光のごとく一瞬にして見えてくるということは、めったにない。ほとんどの場合は少しずつ、一かけら一かけら拾ってこつこつと組み合わせ、入念なモザイクを作るように、最後にやっと全体が現れるのだ」アナイス・ニンの日記のこの一節に心を打たれた。大きな一かけらが拾えたと思った。

ふふふ。
かけらにも大小がある、っていう主張がいいね。
鋭い繊細さ、デリケートなシニカルさ、好きです。

(2015.3.28)
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  • 2015年06月02日 (火)

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