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音楽のつつましい願い  中沢新一・山本容子

2015.11.27 音楽   comments 0
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筑摩書房
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中沢新一「音楽のつつましい願い」を読了。一話目がもう、ほんとうに好きだ。いや、他の作品も良いけれど、冒頭の「孔雀のような コダーイ・ゾルターン」には涙ぐんでしまった。音楽をこんな風に描くこともできるのだな。山本容子さんの挿絵も物語にしっくり馴染んでいる。小さな宝物のような本。

つつましやかな音楽家たちが取上げられた本に。うっとりと心が癒されて。すぐに彼らの音楽を聴きたい!と思うが。私の貧相なクラシックコレクションの中には無いものが多い。そもそも。フォーレとディーリアスはたぶん、どこかにある。コダーイ・・・そもそも聴いたことあったかしら?


以上、読後のつぶやき。

以下、心に残った箇所の引用。

音楽は、人生の一部にすぎないのですから。でも、そのことが、音楽を美しいものとしているのではないでしょうか。人生のすべてではなく、人生の一部であるからこそ、それは美しいのではないでしょうか……。

 ハチャトゥリアンは、色彩を音に変える技術を開発しようとしてきた人物ですが、僕にはそれ以上に、彼は光を音楽に変える技術を身につけた、アルメニアの高貴な職人であるように思われるのです。彼の音楽を聞いていると、圧倒的なエネルギーがうねりながら、ジャンプしながら、僕たちの体の中を通過していくのが、よくわかります。

 しかし、フォーレの音楽は、インテリアの家具にはおさまらない。それは、家具そのものではなく、家具と家具との間、壁紙とテーブルの間、敷居のドアノブと机の上のランプとの間の、空間という空間を、濃密な香りで満たしていく音楽なのである。それにしても、なんという複雑な香りだろう。まるでインテリアが放つオーラのようだ。人間が家に居住し、部屋に住みつくことの秘密を、それはひそやかに語り出す。

 おとぎ話の主人公はたいてい貧しくて、自分には大切な何かが欠けていることを知っている、謙虚な人間だ(あるいは、旅の途中で、その謙虚さを学ぶことになる)。彼はその欠けている何かを求めて旅に出る。その旅の途中で、主人公の心は試される。もしも彼が世間の常識通りに、見すぼらしい格好をした旅の僧や、見るからにみっともない姿をした妖精や妖怪のことを馬鹿にしたりすれば、そのとたんに未来の幸運は彼のもとを離れていってしまう。出し惜しみをしたり、打算で行動してもだめだ。旅の途中に出くわすさまざまな試練のたびに、主人公が私心のない、おおらかな心を持って、自分の所持しているものを、惜しみなく他人に差し上げてしまうような心をしめすとき、彼の前には幸運の狭き門が開かれて、また一歩また一歩と、妖精の女王のすまいである世界の奥底の、「魂の宮殿」へと近づいていく。

 
最後の一文はチュルリョーニスについて語った文章。
この人は絵も描いたらしい。

とにかく。
冒頭の「孔雀のような コダーイ・ゾルターン」が白眉。
涙ぐんでしまった。

読んでいて、聞いてみたくなった曲。

ボロディンの交響曲第二番。
ボロディンの弦楽四重奏曲第一番。

(2015.7.23)
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  • 2015年11月27日 (金)

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