Loading…
 

黒ヶ丘の上で  ブルース・チャトウィン

4622078635

みすず書房
Amazon

 ラドノーシャーのほとんどの農夫は聖書の物語や詩句に親しんでいる。新訳聖書よりも旧約聖書のほうを好むひとが多いのは、旧約のほうが羊の飼育にまつわる物語が多く入っているからだろう。

 彼女はたいそう大柄で憂い顔をしていて、ひどく神経質だった。一日の大半を台所で過ごし、イタリアで習い覚えた料理をこしらえた。着ているのはいつもヘリオトロープ色の服で、ドレスとショールの中間みたいな形だった。琥珀玉のネックレスもつけていた。彼女はよく泣いた。

 メアリーは今、『キャスタブリッジの町長』を読んでいたが、前の週に読んだ『森に住むひとたち』ほど熱中できなかった。ハーディ特有の「不思議な巡り合わせ」が鼻につきはじめていた。

 彼女は趣味のよさと、お金を掛けないで「工夫する」能力に恵まれていた。一面の白壁に薄い青を塗り重ね、別の面には黄土を薄く塗り重ねた。ダイニングテーブルには壁紙貼り職人が使っていた架台を用いた。詰め綿を塗ってカーテンにし、ソファーは馬用毛布で覆い、クッションは馬具用の格子柄の生地でこしらえた。「楽しさを押しつけるような」ものは決して使わない主義だった。

以上、私が読みながら付箋を挟んだ箇所。
以下、読後にツイッターに呟いた感想。


ブルース・チャトウィン『黒ヶ丘の上で』読了。彼の紀行文しか読んでいなかった私は驚いた。ちょっとトマス・ハーディを思わせるような。土地に根付いた人々の物語。ままならないことの多過ぎる人生を生き抜いて行く中で。人は哀しく、自然は美しく、生も死も呆気なく、しかし心にずっと留まる。

「わたしはいつも紀行作家と呼ばれることにいらだちを感じてきました。そのせいで、決して旅などしたことのないひとたちについて書こうと決めたのです」とチャトウィンは『黒ヶ丘の上で』を執筆した動機について語っていたという。なんだか微笑ましい。


(2015.8.13)
また読み返したいなぁと思う本です。
チャトウィンもこういう本を書いたんだなぁ、書けちゃうんだなぁ。
なんだかね。妙に嬉しくなりました。

関連記事


  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://raffiner.blog70.fc2.com/tb.php/2607-edd97ed4

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

表示中の記事

  • 黒ヶ丘の上で  ブルース・チャトウィン
  • 2016年01月24日 (日)

カテゴリ

最新コメント

データ取得中...

月別アーカイブ

***