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もし大作曲家と友だちになれたら…  スティーブン・イッサーリス

Posted by 彩月氷香 on 11.2016 音楽   0 comments   0 trackback
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「バッハの、どこがそんなにりっぱだったかって?そりゃかれの音楽だよ。まったくの天才だったし、いまもそれは変わらない。からが書いた音符はことごとく、完ぺきに正しい音なんだ。この世でいちばん悲しい音楽、この世でいちばん楽しい音楽、この世でいちばん美しい、ワクワクするような音楽のうちのいくつかは、バッハがつくったんだよ・・・」

 たとえば、《ピアノ協奏曲第二十三番》K四八八をきいてみよう。(このKはケッヘルという人の頭文字をとったもの。ケッヘル氏は、何年もかけて、六百以上ものモーツァルトの楽譜を見つけ、作曲された順を推測しながら通し番号をつけるという、たいへんな仕事をおこなった、あっぱれな人だ)。この曲は、三つの楽章の雰囲気がまるっきりちがうのに、ひとつの幸せな物語になっている。第一楽章はとても優雅で、まるで、なにひとつ問題のない、完璧な世界に連れて来られたような気分にさせる。第三楽章は、人びとが笑ったり踊ったりしている様子が目に見えるようだ。だが、この曲のかなめは、ゆったりとしたテンポの第二楽章。この楽章は、とっても悲しくて、まるで底なしの川をのぞきこんでいるような気分になってくる。その美しさはまさしく魔法のようだ。

 もしベートーベンと友だちになれたら、きみは一生つきあえる親友と出会ったことになるぞ。生涯、きみをぜったいに失望させない友だちを。

 ごくおおざっぱにいうなら、バッハの音楽には神の目から見た世界が示されている。モーツァルトの音楽は大自然の一部のようなものであり、ベートーベンは全人類に向けて語る。では、シューマンはどうだろう?シューマンの音楽は、ロベルト・シューマン個人の感じ方や気持ちを伝えてくれるが、それでいて、ぼくたちみんなに語りかけてくる。かれの感情はあまりにも強く、あまりにも真にせまってくるので、ぼくたちはかれの中に自分自身を見つけ出すのだ。

 気に入らない曲は全部自分で破り捨ててしまったので、今日に伝わるブラームスの作品には、ほんとうに出来の悪いものや価値の低いものは、ない。《ハンガリー舞曲》のほとんどと、そのほかの短い曲は、軽くて楽しいけど、だからといって価値が低いとはいえない。「楽しむこと」って大切だからね!

とにかく、ブラームスをきくのに、まちがえる心配はない。前にもいったけど、たいくつな曲は、まずひとつもありません。だから、長い曲も短いのも、好きなだけたくさん、いろいろきいてごらん。そして、「うわー、すてき!」っていう気持ちに、どんどんなってよ!

たくさん、引用しましたが。
ほんとうに。隅々まで楽しい文章です。
読んだ後、ちょっと興奮気味にこんなツイートをしていました。

スティーブン・イッサーリス『もし大作曲家と友達になれたら・・・」読了。とっても楽しかった。子ども向けに易しい言葉で書かれているのだけれど。小難しい評論なんかより、よほど作曲家それぞれの個性や特性や長所や短所を捉えていて。うー鋭い!上手い!そして微笑ましい。音楽への愛が溢れてる。

作曲家の生い立ちやエピソードがユーモアたっぷりの楽しい筆致で(時になかなか辛辣に)描かれ。「これをきいてみよう!」という曲紹介の章は特に、読んでいると無性にワクワクしてくる。取上げられた曲を今すぐ聴きたくなる! 続篇とか書いてくれないかしら。もっと沢山の作曲家のを読んでみたい。

うん。ほんと。こういう生き生きした、読む人の心を踊らせるような曲紹介っていいなぁ。優しさと愛情たっぷり、でも盲目じゃない。「入り口へ連れて行ってあげるから、そこからドンドン自分で奥に進んで、探検してね!絶対楽しいよ!」っていう調子で。よーし、行ってみよう!って気持ちになる。

クラシック音楽を聴いている人にも聴いてない人にもお勧め。
平易な言葉で、こんなに豊かな表現ができるんだなぁ・・・と。
そのことだけでも、なんだかワクワク・うっとりしてしまいます。

(2015.9.14)
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  • 2016年02月11日 (木)

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