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天使突抜367  通崎睦美

4473037282

淡交社
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天使突抜ってね。町名なんですよ。
さすが・・・さすが京都です。

そして。読み進むにつれ、痛感するのは。
通崎さん、さすが・・・さすが京都人です。

彼女はマリンバ奏者かつ、着物コレクター。
趣味の着物を収める倉庫を作ろう!と思い立ち
古い町家をリノベーションなさるわけです。

つまり。その倉庫(っていうには美し過ぎる・・・)が
完成するまでの奮闘記なわけです、本書は。

まぁ。何というか。夢中で読めちゃう面白さで。
その面白さの源は、豪華なクリエイターたちの活躍と、
通崎さんの独特の感性による彼らの観察なわけで。

ひとことで言うと。

わぁぁ。めっちゃクリエイティブやん!

物作りの(しかも予算があったり制限がある)楽しさが
ビシビシと伝わってくる・・・あ、しんどさも。

で。折りにふれ。
「ああ京都やな」「京都やわ」「京都っぽいわ」
・・・と。「京都ならでは」感が濃厚に漂ってくる。

正直ね。ちょっと苦手なわけですよ。
京都らしさの真骨頂的な、人とモノの密な関係が。
いや。何だろう。暗く冷めている熱さというか。
煮えたぎってるんじゃなく、冷えたぎってるというか。

多分に。あこがれやら、羨ましさやらも混入されつつ。
なんだかね・・・ちょっと底知れぬ怖さみたいのも感じる。

すみません。京都の方がいらしたら気を悪くされるでしょうね。
嫌いだっていうのとは違いますからね!
とにかく、ああ近い筈(距離的には)で遠い世界だな・・・と。

京都ってやっぱり異次元ぽいわぁ。

こういう土地があり。
こういう京都的な情緒や人間関係があり。
そういうのは、ずっと残って欲しいなってホントに思う。

私は・・・絶対に入ってはいけませんけれど。

リノベーションの中心人物の谷本天志さん。
すごく気になる人物です。
著書は彼のことをこんな風に記していました。

谷本さんには、有言実行とか不言実行とか、そういう四文字熟語の重々しさはなく、いつも「実行」ただそれだけがある。今回も、ふと気が付くとそこにあったもの、こちらのリクエストに「はい」とだけ短く応えたかと思うと、ある日魔法のように姿を現したものなど、度々手を叩いて喜びたくなるようなものに出会った。版築壁に似合う「猫よけ柵」などはあたたかみのあるお手製で、つい猫にまで自慢したくなるようなものだ。谷本さんの仕事を見ていると、全てに神経を行き渡らせながらも、ぴりっときかせるところを決めていく、その判断が潔い。手をかけるところと、そうではないところ。予算も含めた全体を見渡しながらのバランスが、絶妙なのだと思う。

あと、漆専門の川合啓義さん。
著者は彼の仕事を以下の如く、評していました。

川合さんには、大事につかっていた「何でもないカップ」が割れた時、漆を使った金継ぎで破片をくっつけ修復してもらった。これもセンスと技術のかたまりのような仕上がりで「割れてよかった」と思えるほどであった。


あと。物作りについての表現が随所で素敵でした。

細かいことにしつこくこだわると、仕上がりに伸びやかさがなくなる。かといって、こだわりを捨てれば、味ではなく、粗となる。そのさじ加減は、経験と勘によるもの。(漆塗りに関しての記述)

細部へのこだわり、というと堅く聞えるが、細かいところまでの気配りはなんともうれしい。


著者の文才もなかなかのもので。
なんとも妙に奥深い面白さに満ちた本です。

そして。ああ、やっぱり京都やわ・・・
(結局、ここにたどり着く)

(2015.11.2)
思いっきり、余談になりますが。
著者がカレー作りに使っていた「野菜畑のブイヨン」が気になるなぁ。
あと、松原キムラというお惣菜屋さんも。
本書には美味しそうなものもたくさん、登場するのです。

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  • 2016年03月02日 (水)

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