Loading…
 

永い言い訳  西川美和

4163902147

文藝春秋
Amazon


「踏み外したことのある人間にしか、言えないことばもあるでしょう。そういうことばにしか引き止められないところに立ってるやつも居るんです。」

真実が白日の下に晒されて、満ち足りた気持ちに浸るのは往々にして晒した当人だけである。一度ひらかれてしまえばふたたび裏には返せないのが「真実」だ。嘘つきと思われても、後で返す裏が残されているほうが、まだ未来があるのではないか。

 死は、残された物たちの人生に影をさしこませる。その死の成り立ちようが、痛ましければ痛ましいほど、人々は深く傷つき、自らを責め、生きる意欲を奪われ、その苦しみは、また別の死の呼び水にもなり得る。

映画、「ゆれる」がすごく良かったなぁって。あの作品も自身でノベライズされてるんですね・・・ちょっと気になる。後味の悪さというか、怖さというか、ああどうしようもないっていう感じが魅力なのは本作も、かな。

わーヤラれた、って思う。映像でも文章でも、この人の作風は、かなり、あざとい。そこのとこがイヤじゃない。一方でこのあざとさに拒否反応を起こす人は少なくないだろうな、と感じる。私は楽しんじゃう。

ダメ人間の哀しみがリアル過ぎて泣けてしまった。淡白な印象の鋭さというか、あっさりとしたクドさというのか。さらさらとギトギトしている。この感じ、受け付けない人には「下手」に見えるのかもしれない。上手に乗っかっちゃうと、妙な迫力に飲まれるのだけれど。

さすがというべきか、映像喚起力に優れている。あと著者が「愚かさ」に向き合うエネルギーの大きさ。「善」に逃げない強さが好き。わかりやすい言い訳ではないところも。

(2016.1.11)
日記に、この本の感想を書いているのを見つけたので一部、転記します。

西川美和「永い言い訳」。
ボロボロと泣きながら読んでいた。主人公の幸夫のロクでもなさには悔しいほど同調させられた。久しぶりに。一度も本を閉じることなく一気に読み切っていた。

何がこんなに心を鷲掴みにしたのだろう。幸夫は「書く」人間で。それ故の根本的なズルさ、を持ち続けている。私は書く人間であろう、ありたい、と。奇しくもこの本を読み始める前に考えていたのだ。

書くことがもし出来なくても、せめて自分の頭で考える人間に戻りたい。近年失った自分の思考というものを取り戻したい。私の中の、最も私である部分を。

関連記事


  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://raffiner.blog70.fc2.com/tb.php/2714-c2de666f

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

<別館のご案内>
Instagram
99%、花の写真です。

moleskine絵日記
ちいさな絵日記。

表示中の記事

  • 永い言い訳  西川美和
  • 2016年06月12日 (日)

カテゴリ

最新コメント

データ取得中...

月別アーカイブ

***