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名づけえぬもの  サミュエル・ベケット

4560043485

白水社
Amazons

もう・・・もう・・・もう・・・読み終えるまで、ひたすら忍耐でした。何か展開があるのか、謎が明かされるのかと思いつつ、我慢に我慢を重ねて読みましたが。

徹頭徹尾、気が狂っているか、ラリっているか、それとも人外の生物なのか、死後の霊なのかがわかない「おれ」の言葉の羅列を辿り続けるのみという、なんとも貴重な読書体験。

凄いです。凄まじい。なんなんだろう、このしつこさ、執念。言葉の上に言葉の塗り重ね、常に前言を否定し、否定をもまた否定し、逡巡し、断言し、迷い、断定し、嘆き、開き直り、納得し、反論し・・・。ねぇ「おれ」、いい加減に飽き飽きしない?と主人公(?)に話しかけたくなります。

これが死後の意識だとしたら、地獄だな・・・。もしもこんな「おれ」のようになって漂うようになるんだったらどうしたらいいんだろう。恐ろしい。いや、漂ってもいない。闇に固定されているのだ。

そして、何も見えない。なのに「おれ」は何かを見ている。

(2016.3.13)
苦行としか呼べない読書だったのに、途中で放棄することは出来なかった。そして捉えどころのないまま、私が捉えられた。驚くべき書物です。自我というものがいつか、このような有様に行きつくとしたら・・・滑稽過ぎて哀れだ。さっさと自我なんて捨ててしまえと言いたくなる。「自分」を「自分」と認識できているかどうかもあやふやなまま、「おれ」について語り続ける地獄。どんなホラーよりもホラーだ。シュールというのでは済まされない。もしも死後の世界がこんな風に「意識」だけ残るとしたらとゾッとしました。今でも時々思い出して背筋が寒くなります。
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  • 2016年08月22日 (月)

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