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荒野へ  ジョン・クラカワー

4087605248
集英社文庫
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なんだろう。えーと。感動しなきゃいけないというヘンなプレッシャーを感じてしまっていたみたいです。否、心に響くであろうと期待し過ぎていたのだと思います。

正直に言いましょう。面白くはあったけれど、構成や描き方に少なからず疑問を感じるところがあり。私の心にはどうも歯がゆくもある「距離」が歴然と存在していました。

ノンフィクションなわけですけれども。私は著者の描き方に馴染めなかった。題材となった青年の死の謎を解くミステリーのような仕立てになっていますが。そもそも、冒険へと駆り立てたものが何かが描かれていない。いや、描いたつもりかもしれないけれど、描けていない。冒険で若者が何を得たのかもわからない。

冒険への想いをまるで読者が我がことのように感じるようでなければ、冒険を描く意味がないように感じます。距離を置くことを課したという割には、著者自身の体験が突然はさまれたりして・・・それは違うと思う(蛇足、と言い切ります)。どのみち、死者は語らないのだから、真実はわからない。死の理由を解き明かすことよりも、書くべきことはある。

「届いていない」と感じるのです。だから心に響いてこない。

本来、凡人の私などには冒険を求めて旅立っていく者の気持ちがわかるはずはない。でも、それがわかると思えるように描けなくては、その人物を描き切れたとは言えないだろう。あるはずのないものが「ある」と見えた時、本当は「ない」という事実に立ち返って、その間に横たわるものが実は大きいようで大きくないことに気が付くことができる。

そのように描いて欲しいというのは。私の願望でしかありません。冒険家を描いたノンフィクションを幾つか読んで来て、その度に号泣するほどに心を揺さぶられた私としては。本作のように「他人事」としか思えずに読み終わってしまうのは淋しかったです。

(2016.4.17)
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  • 2016年07月18日 (月)

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