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光の帝国  恩田 陸

2016.08.17 恩田 陸   comments 0
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集英社文庫
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 主人は美しかった。存在感は大きいのに、からっとした明るい軽さが漂っていて、皺の一つ1つが芸術品のように見応えがあるのである。自分の仕事に精進して充足している人間だけが持つ安らかな表情には、虚勢が微塵も含まれていなかった。篤はこういう人間を見ると、激しい自己嫌悪と羞恥を感じてしまう。自分が歳をとってもこういう顔にはなれないだろうと思うのと、こういう顔の日本人がかつてはいっぱいいたのに、みんな自分たちをおいて先にいなくなってしまうのだという絶望を感じるのだった。

 運命というものがあるならば、と最近では篤は考えるようになっていた。一人の人間が一生に為すべきことは、既に決まっているのかもしれない。もしかして、自分も何かをするのかもしれない。自分でも知らないうちに、大きな営みの中で、何かの役目を果たすことになるのかもしれない。

「常野物語」と副題にあり。明らかに「遠野物語」を意識しているのだなとわかる。言ってしまえば、超能力一族を描いた連作短編集なのだけれど、全体に懐かしさのような、少し古風な雰囲気が漂っている。

私が恩田陸作品に対して感じる苦手要素が極めて薄いというのも特色。それにはまず何が苦手かを延べる必要があると思うが。えーと。「なんでそうなるー!?」という展開の不条理というか、もっと言うと個人的には「これって失敗では?」と言いたくなる整合性のなさというか、作者自ら世界感を崩してしまうクセというか。

この本を読んで思ったのは「あれー。恩田陸とは思えないくらい、ちゃんとしてる!」(失礼。ごめんなさい!!!)・・・なので、恩田陸が苦手な人も読めると思う。恩田陸らしさに欠けるというわけでも勿論なく、宿命的なものを背負って孤立している者たちの淋しさの描き方が魅力。かつ、珍しいくらいに優しさと光もある。

(2016.14)
ただ、恩田陸に「がっかり」することももしかすると読書の楽しみだったのかもしれず、妙に肩すかしを食らった気分であったりもするという読後感・・・。微妙に既視感もあって、下手すると平凡になるというのがこの路線なのだと感じている。
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