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ゴースト・スナイパー  ジェフリー・ディーヴァー

Posted by 彩月氷香 on 11.2016 ジェフリー・ディーヴァー   0 comments   0 trackback
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文藝春秋
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しかし、一人きりの退屈より、誰かといて感じる退屈のほうがよほど始末に悪いと、あるとき気がついた。

 コーヒーは熱く、苦みもほどよかった。トーストは厚切りで、バターを塗ってから焼いてある。その順番が唯一の正解だ。それにオムレツ。出来がよいなどというレベルではない。超一級品だ。

シリーズ物は水準を保つのが難しい、とよく言われます。ジェフリー・ディーヴァーも作品によって「さすが!」と言われたり、「やり過ぎ」と言われたり「物足りない」と言われたり、「あるまじき凡作」とまで言う人もいたり・・・

ファンとはなんとも残酷に高望みをするもので。逆にファンゆえキズがあろうとも許すという向きもあるわけですが。

本作は確かに地味。そして、ちょっと変化を感じますね、登場人物の描き方に。特にライムが変わりつつあるかな? 主人公周辺の人間模様が私は楽しかった。別にいつもジェットコースタームービー風でなくても良いと思う。うん、なんかほのぼの感があるのが新鮮。

毎度毎度、超異常犯罪者を描いていても不思議に殺伐としないのは、殺人者側、追う側、双方の暮らしぶりを丁寧に描いているからと思う。ストーリーの本筋に関係ないところの細々した描写が私は好き。インテリアやお料理や登場人物のコンプレックスや、悩みや・・・どれほど異常な殺人事件の最中にあろうとも、紡がれている日常生活の色合いは褪せていなくて。

私がイギリスの古いミステリーが好きなのは、その時代のイギリスの風俗を味わうのに何よりも適しているから。犯罪は正直どうでもいいくらい。同様にライムシリーズは、ライムとアメリア、そして毎回登場する犯罪者の暮らしを覗くことが楽しい。

シリーズ初期作品の圧倒的な面白さを忘れられずにいると、「凡作」という台詞が出て来てしまうのもわからないでもないけれど。そこまで欲張らずに、のんびり楽しく読み続けたい。今のところ、がっかりさせられたことはないので、それで充分です。

(2016.6.23)
自分自身と闘っている人がたくさん登場するのも、このシリーズの、というかジェフリー・ディーヴァーの書く小説の特徴のような気がする。がむしゃらでもなく、じめじめでもなく、ドライでクールだけど、格好良すぎない頑張り具合。そしてなかなか敵(自分自身の弱点)が手強過ぎて倒せないまま物語が進行する辺りが、読んでいて気持ちが良い。それも好きな理由。
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  • 2016年10月11日 (火)

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