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最悪  奥田英朗

4062735342
講談社文庫
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最悪すぎる。

不況に喘ぐ小さな鉄工所の社長の川谷、
家族と仕事の人間関係に悩む銀行員みどり、
小悪党なチンピラもどきの無職の和也、
この3人の不運と転落の日々が描かれるわけだけど。

その心理描写の緻密さ、状況説明のリアリティが凄まじく、
私は途中で泣きたいほどに心が重たく沈んできた。
一人分で満腹な「最悪」が3人前だよ!どんだけ、てんこ盛りなんだよ!

奥田さん、読者をこんなに苛めて、こんなに不快な気持にさせて、
あなた、何が楽しいんですか?
・・・と、逆恨み的に、筆者に対する怒りまで湧いてくる始末。

それだけ、著者の筆力が優れている、ってことです。
全く接点のなさそうな3人が交わる過程も見事だし、
追い詰められた人間の狂気も、怖いくらいリアルに描かれている。
犯罪小説の傑作、といって良いでしょう。

と、ここで、今更のように、私は気付く。
「私、犯罪小説が大の苦手なんだ!」

そういえば、傑作と絶賛される吉田修一の「悪人」を読んだときも、
「上手な小説だけど、こんなの読みたくなかった」と感じたのだ。

決めた。どんなに世評が高かかろうと、好きな作家の作品であろうと、 
「犯罪小説」は二度と読まない。
わがままかもしれないけど、嫌いなものを読まない自由もあるはずだ!

(2010.7.3)
この本の悪口のように聞こえたらごめんなさい。
なんだかんだ言って、惹き込まれて一気に読みましたよ。
Mっ気のある私、「しんどい読書」も結構好きなんですけどね。
身につまされつるようなリアルな苦悩をコツコツ積み上げられるの、
めちゃくちゃ苦手なんです・・・。
唯一、私が好きな犯罪小説といえば、カポーティの「冷血」。
小説ではなく、ノンフィクションですが。
あの作品は未曾有の傑作である、と言いきれます。
テーマの重さに身も心も押し潰される想いのする本ですが、
それでも生涯のうちに、何度か読みかえすだろうと思います。



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