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海を呼びもどす  片岡義男

Posted by 彩月氷香 on 05.2017 片岡義男   0 comments   0 trackback
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スタイリッシュな卑怯者。

主人公がモテモテで。
えらい彼に都合のいい話だなぁと思って・・・
ふと浮かんだのが、冒頭の言葉。

そして。なぜか思い出したのが。
若い頃、大好きだった村上春樹の「ノルウェイの森」。
それから、「ノルウェイの森」を愛読していた青年。

彼が自分のことを「卑怯者」と言い切った瞬間のことも、
ほんとうにほんとうに、久しぶりに記憶に甦りました。

ちなみに。私は「卑怯者」が嫌いではありません。
私が嫌っているのは「偽善者」です。

偽善者は自分に酔いしれていますから。
自分の真の姿を直視できませんから。

卑怯者は、自分自身をわかっている人です。
自分が卑怯だと知らない卑怯者はいないと思います。
だから私は偽善者は絶対に愛せないけれど。
卑怯者を愛することはできます。

実際、ね。
卑怯者は愛されているでしょう。多くの場合。

あれ。この文脈からすると。
本書の主人公が卑怯者で。著者も卑怯者で。
とばっちりのように村上春樹も卑怯者だと・・・

えええーっと。そう言ってるように聞えますか?

うん。まぁ。そうだと言いたいわけではないのですが。
そう取られてもやむなしというか。

で。そもそも。「卑怯」ってどういう意味なのよ?

勇気がなく、物事に正面から取り組もうとしないこと。
正々堂々としていないこと。また、そのさま。

あれれ。そういう意味でしたか・・・
なんか違うな、私が思ってるのと。

「卑怯者」はどうだろう?

勇気のない者。心の卑しい卑劣な者。

そうか。勇気がないってところは外せないのね。
正面から立ち向かわないというのは、そうかな。

あ。ちょっと待って。
私のイメージしている「卑怯者」は。
ハイレベルな「卑怯者」なんだわ。

そう、だから「スタイリッシュな」もしくは「小洒落た」
もしくは「堂々とした」が形容詞としてつくわけです。

うーん。でも「偽善者は卑怯だ」とも言いますしね。
だんだん、言葉遊びに過ぎないような気がしてきました。

そして自分が「卑怯」と自覚していない「卑怯者」も。
やっぱり、それは・・・存在するんでしょうねぇ。

私は卑怯であることを自覚していなければ「偽善」になる、と。
そういう風に捉えているのかもしrません。

卑怯な人間も。偽善者も。うわべは優しいですからね。

なぜか私は偽善者の優しさは許せないし、優しさとは思わず、
卑怯者の優しさは、優しさと認めることが出来ます。

でも。どうだろう。
卑怯と卑劣との境界もあっさり引けないものですが。
私は卑劣な人間は激しく憎んでいる・・・

もっと言うと。
「卑怯」も「偽善」も。
自分自身が持っている要素だと自覚しています。

そして。卑怯者であるのは仕方なくても。
偽善者にはなるまいと思っています。

あ。わかった。

卑怯者というのは「正面から立ち向かっていない」人のこと。
偽善者はそんな自分を美しくラッピングすること。

なので、私の言う「スタイリッシュな卑怯者」は「偽善」に近づく。
卑怯なのに「おしゃれ」なわけですから。

でもね。スタイリッシュな卑怯者は「おめかししている」意識がある。
偽善者は「装っている」という意識はない。

そう。ここ。ここの違い。

偽善者が薄々自分の「偽善」に気がついているということもあり得るし。
そうなるとまた、この線引きの意味が薄れてくるのですけれども・・・

あ。よし、わかった。

偽善は美しくはあり得ない。
そして卑怯ももちろん、美しくはない。

ただ、偽善に洒落た服は着せられないけれど。
卑怯に格好いい服は着せることができる。

本質から偽っているのが「偽善」
そもそも、「偽」ですからね。
中身が美しいという、盛大な大嘘。
装う必要なんてありませんよ、と見栄を切っている。

卑怯は本質は「醜」のままですから。
それが美しく見えるとしたら衣が美しいのだ。

偽善も「衣」だけの美しさなのかもしれませんが。

私は「偽善」にだけは騙されない自信があるのです。
だけど「卑怯」になら騙されてやってもいいかと思う。

ははは。何がいいたいんでしょうねぇ。
こんな文章からでも、本書のイメージは伝わるでしょうか。

たまには、こんな訳のわからない感想もいいかな。
・・・と。開き直るのは「卑怯」でしょうか(笑)

(2016.12.22)
片岡義男の小説は若い頃すこし読みました。
とても空疎な印象で、ただ独特の空気感が嫌いではなかった。
エッセイの方が好きだったかな。
懐かしくて検索してみたら、こんな記事を見つけました。
片岡義男さんインタビュー
この中で思わず膝を打ってしまった一節を引用します。
 女性は素敵でないといけない。男性は格好良くないといけない。そしたらもう、話はできたも同然だから。惨めな女や、箸にも棒にもかからない男も書いてみたいと思うんだけど、なかなかできない。そうはならないんです。
ああ。潔いですね! 全然卑怯じゃない!(笑)
ちなみに「卑怯」という言葉は失礼かと思いますが。
私は決して貶すつもりではありません。

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  • 2017年02月05日 (日)

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