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二十世紀のパリ  ジュール・ヴェルヌ

2017.09.01 SF   comments 0
4087732177

集英社
Amazon

二十世紀が未来だった頃。

ええっと。珍しく、借りた本ではなく買った本。
「非常食」として積まれている中の一冊です。
図書館で本を借りる暇のなかった時に読みました。

この「非常食」(=積読本)、もう数えるのをやめましたが。
おそらく、200冊前後と思われます。

ジャンルは雑多。
古本屋で状態がよく、装丁が見苦しくなく、安かった本たち。
なので、「すごく読みたい本」であったりはしません。

「うわぁーこれ読みたかった!」という本も少しありますが。
基本的には「読んでもいいかも?」くらいな本です。
これもそんな一冊。タイトルと装丁が気に入って買ったもの。

で。読み終えて数ヶ月が過ぎた今。
内容が思い出せず、読み返す時間もないので。
とりあえず、Amazonの紹介文を引用してみます。

時は1963年。ヴェルヌが執筆した時から、ちょうど100年後を想定した時代。パリは文明の発展を謳歌していた…。執筆時「荒唐無稽」と評された本書は、130年の時を越え、現代文明に新たな意味を問いかけている。

私、そもそも、この手の未来予測型小説が苦手です。
傑作と名高いオーウェルの「一九八四年」もダメでした。

陰惨というか。未来予測は「救い様がない」んですね。
そしてその未来は「すでに来ている」わけですよ。
「当たっている」と言えば「当たっている」し、
「そうでもない」と言えば「そうでもない」。

結局、人間の悪い方を見れば「当たる」のです。
だけどそれは、いつの時代も底流にあるものでしょう。

世の中全部がひとつの思想や風潮に染まるとき。
それがどんなものであれ、世界は牢獄になるのです。

作家の想像力が描き出した未来を。
その未来とされた現在と照らし合わせて答え合わせをする。
意外に正解が多くて、高得点だということを面白がる。
・・・という視点は私にはありません。

いえ。読めば、無意識に答え合わせはするんですよ。
でも。それが面白いとはあまり感じないのです。

あ。言い直しましょう。面白いとは感じなかった。

この本はなぜか面白かったのです。
ううん、面白いというよりは切なかったのです。
いえいえ、その切なさが同時に「面白み」を生んだのです。

今ならオーウェルの「一九八四年」も楽しめるのかもしれない。

それは、私自身の「世の中に対する絶望」が深くなって。
それでも「人間という生物への希望」は絶えていないからだと思う。

小説を書く人間は並大抵ではない「絶望」を抱えていて。
だから「希望」を描こうとしているのだ・・・というのは
あまりにも単純化しすぎた考えでしょうけれども。

黒いものの中に、白い色を見る。

そういう読み方が出来るようになってくると、
「好き嫌い」という狭い判別式の枠から出て、
「面白がる」ことのできる範囲が広がっていくのでしょう。

何を言ってるんだか、ちっともわからない感想ですが。
要は、私はこの本がなかなか好きということです。

救いはありませんが。
哀しい、でもなく。虚しい、でもなく。
現在への警鐘という捉え方でもなく。

人間の生の「いじらしさ」を私は強く感じました。
著者の「願い」がやはり色濃く漂っています。
それがこの作品に美しい表情を与えています。

詩情、と言ってしまっていいかどうかわかりませんが。
何か、「濁りのないもの」が息づいているのを感じます。

物語に救いはなくても。その気配が救いになります。

(2017.4.5)
SF小説の父とか、冒険小説の巨匠的なイメージが強くて。
少年の読み物?というイメージがついちゃってますが。
そういう先入観を取っ払って今更ながら読んでみようかな。
次は「海底二万里」か「八十日間世界一周」あたりを。

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  • 2017年09月01日 (金)

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