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『蜜蜂と遠雷』恩田 陸

2017.11.29 恩田 陸   comments 0
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幻冬舎
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あり得ないほど読みやすい、恩田陸。

あ。別に恩田陸が読み辛いと言うわけでは・・・
ただ、クセやアクが強い作風ですよね、本来。
それが本作は確実に万人受けする路線です。

でも。ピアニストたちの個性が生き生き描かれていて。
舞台となるコンクールの雰囲気に臨場感があって。
ええ。とっても楽しいです。

ピアニストの個性というところが特に。
音楽と向き合っていく上でのスタンスの違いとか。
それは性格もあるし、才能の差もあるし、
目指すものの違いもあるし・・・

様々な音色が聞えてくる楽しさ。

ま。ひとつ言えば。
天才がこんなにゴロゴロしてたら困るよ、って思うけど。
それでも音楽の「良さ」は本来幅広いものであって。

この演奏が一等賞!っていうのでないことはよく伝わってくる。
言われなくてもわかってるよ・・・ってなことでもあるけど。
でも、なんでも「点数化」して、「評価」して。
最後に「順位」をつけてしまうのが人間ですもの。

だいたい、この物語の主題がコンクールですしね。
まぁ。だからコンクールなんて無意味という筈もなく。

審査員がガチガチに頭がカタイとしても。
多くの聴衆の中には違う聴き方をする人も居るし。

コンサートの是非ということとも被りますが。
やはり音楽は演奏だけでは完結しなくて。
聴いてくれる人があって、そこでまた一歩進むのだろうと。

ええ。誰も聴いてなくても。音楽は音楽ではあるのです。
それに関しては。登場人物たちの声を拾ってみましょう。

誰のために弾く?
最近、マサルが舞台の袖で考えるのはいつもそのことだった。
お客のため、自分のため、それとも音楽の神様のため?
わからない。でも、誰かのために弾いているには間違いなかった。
誰かというよりも「何か」のため。そんな気がする。

音楽に限らず。芸術というものは。
誰のため? 何のため?・・・と。
問いたくなる性質のものでもあるでしょう。

簡単に。「好きだから」で済ませるには。
そのために注ぐ労力が膨大過ぎて・・・

いえ。でも。
「好きだから」が強くないと続けられないでしょうけれど。

もう一ヶ所、引用してみましょう。

どんなに汚くおぞましい部分が人間にあるとしても、そのすべてをひっくるめた人間というどろどろした沼から、いや、その混沌とした沼だからこそ、音楽という美しい蓮の花が咲く。
 僕たちはあの蓮の花を、いつまでも咲かせなければならない。もっと大きな花、もっと無垢で美しい花を。それが人間であることに耐えていくよすがであり、同時に報酬なのだ。

私はやはり。羨ましいな。
このように、自分の生涯を捧げる何かを持っている人が。
眩しいな。「美しいもの」を生み出す力のある人は。

(2017.7.10)
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  • 『蜜蜂と遠雷』恩田 陸
  • 2017年11月29日 (水)

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