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冬至まで〈下〉  ロザムンド・ピルチャー

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日向房
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こんなクリスマスが送れたら・・・

かけがえのない大切なものの喪失ということも。
物語のテーマとしてあるわけで。
キラキラにハッピーなクリスマスではありません。

でも。このクリスマスの情景は。
徐々に光の差してくる心と呼応して。

一度は粉々に砕けた心でも。
きっと再生できると信じさせてくれる。

つまり、きみは馬鹿じゃない。少しは自分を主張するようにしなさい。ほかの人がきみに代わってそうしてくれるわけにはいかないんだから。自分を主張しようと思うなら、ちゃんと理屈にかなったことを主張すべきだ。くよくよしたり、やたらすねたりするんじゃなくて。

ルーシーは初めて会ったときから、オスカーが大好きだった。初対面のときから虫が好かない人がいるように、初めて会ったときから好きで堪らない人もいる。会ってすぐはっきりするものなんだわ、好き嫌いって、きっと。どんなに時がたったって、オスカーに会ってすぐ感じたような親しみを、ランダルにたいして感じることはないだろう。

サムの体も冷えこんでいたが、すぐには動きだそうとしなかった。というのは、ふたたび空を見上げたとき、貝殻の内側のような淡いピンク色が突如、紅と黄色の炎にも似た色に、燃え立つ火のようなきれぎれの条に変わったからだった。なお見守っていると、遠くの岬の低い丘の上にオレンジの太陽が一インチ、二インチとせり上がりはじめていた。まばゆいばかりに輝く光の屈曲した縁がうねりを上げている海面に触れ、起伏する砂丘の黒々とした影をおぼろに霞ませ、薄墨色だった空の暗がりを散らして、サファイア・ブルーに、さらに群青色に変えはじめていた。
 その輝かしい日輪が世界のかなたから上るのを見守るうちに、サムは時の観念をまったく失っていた。それは少年の日に見た日の出と同じように新鮮な奇跡であり、彼は寒さも忘れて恍惚と見とれていた。灯台の灯の針のようなまたたきも消え、あたらしい一日が始まっていた。この冬至の日を境として、昼が一日一日と長くなり、そしてやがてあたらしい年を迎えることになる。そう思いつつもサムは、あたらしい年が自分に何をもたらすのか、想像もできずにいたのであった。

善人ばかり登場するわけでもなく。
悪人ではないけれど心の貧しい人の描写は痛烈です。

いる、いる、いる、こんな人・・・
幸い、身内にいないと言える私は運がいいのだろう。

ままならない環境や人間関係に苦痛があるとしても。
くよくよしたりすねたりは、もう卒業しよう。

(2017.12.11)
スコットランドの景色がクリスマスに似合い過ぎ。
中村妙子さんの翻訳、いいですね。
翻訳している本の傾向も好みにあうようです。
あ。津田塾卒業生。父が牧師。・・・なるほど。
キリスト教文化に通じている背景があるからですね。

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  • 2018年04月26日 (木)

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