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首斬り人の娘  オリヴァー・ペチュ

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ハヤカワ・ポケット・ミステリ
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能天気に面白がれない。

17世紀ドイツ。
魔女狩りの記憶もまだ新しい時代。
代々首斬り人の家に生まれた大男が主人公。

いいですか!
主人公は男です!
娘じゃない!
邦題に偽り思いっきりアリです。

「首斬り人」ってタイトルじゃ売れないと思ったのかな。
ま、たぶん、そうだろうな。
(娘が出て来ないわけではありませんよ)

何より、著者が首斬り人の家系の出というのが吃驚。
自分の出自を知ったとき、絶対にショックだったと思う。

主人公を「こうだったらいいな」と描いたそうです。
処刑や拷問が「職業」だった祖先を恥じたり怖がったり・・・は、
きっと、したくはなかったでしょうし。

現代がいいなんて感じたことはあまりないけれど。
こんな時代に生まれたらどうなっただろうと不安になる。
私も魔女扱いされそうだ。いや、されるに違いない。

あ。本作は魔女の疑いをかけられた女性を救うべく、
「真犯人」を探すというミステリーとなっております。

怖いのは。
魔女と目された女性が犯人でないと知っていても。
彼女が死ねば民衆の暴動が抑えられると判断し、
冷静に彼女を犠牲にしようと決める人間が存在すること。

スケープゴートが必要だと考える指導者と。
その生け贄に喜び勇んで襲いかかる民衆と。
どちらにも加担しない傍観者と。

状況によっては、どれにでもなり得るのが人間で。
でも、なぜか自分は「スケープゴート」になる予感しかない。
「生け贄属性」みたいなのがたぶん、あるんです。

だから、必死で処刑されかかっている女性の無事を祈りました。

きっと。いや確実に。
著者の祖先は無実の人をたくさん、処刑したでしょう。
そのことが十分にわかっているから、彼はこの物語を書いた。

彼が求めた「救い」が作品に魅力を与えていると感じます。
現実はもっと理不尽で恐ろしいものだったに違いないのだから・・・

(2017.1.17)
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  • 首斬り人の娘  オリヴァー・ペチュ
  • 2018年06月07日 (木)

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