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『わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい』  鴨居羊子

4480422978
筑摩書房
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ああ、誤解。

苦手なタイプの女性筆頭みたいなイメージでした。
鴨居羊子さん・・・こんなに繊細な女性だったとは。

自由奔放という従来の印象が弱まったわけではありません。
だけど。切なくなるくらい、鋭敏な感性を持っている人。
彼女にとっての母の存在が読んでいて胸に突き刺さる。

彼女みたいな行動力を持てる女性(いや性別は問わない)は、
非常に稀であることは確かで。自分とはまったく違うけれど。
気持ちはすごくわかる。考え方には共感する。

行動へつながらず終わる凡人からの遠い憧れかもしれない。
でも、そうは感じさせないくらい、文章が鮮やかで近い。
とてもしなやかな、伸びやかな、率直な・・・
そして。強い。輪郭がはっきりしている。力がある。

私が読み始めてまず思ったのは。
なんなん、文章上手過ぎやん!!!めっちゃウマイやん!
個性的というか、独特やけど。ぐいぐい迫ってくる。
この文章力はケタ外れ。面白い、可愛い、鋭い。

派手で奇抜で悪趣味(ごめんなさい!)な下着と、
不気味な人形とグッズ(あああ、すみません、すみません!)
のお店のオーナーであるド派手なオバサン、という認識でした。

ちょこっと。何か気にかかる気配はあって。
好みではないけれど、無視出来ないオーラがあって。
それでも、行ける距離にあるお店を一度も覗きもせず。

行ったところで、私は気に入ったとも思えないわけですが。
何か伝わってくる、感じ取れるものはあったかもしれない。

新聞記者だった彼女は、デザインの勉強もしていないのに、
いきなり「下着をつくる!」と決めて退社し。
勢いのままに突っ走り続ける人生を送るわけなのですが。

その人生を味でたとえるならば。
苦いでもない、甘いでもない、酸っぱいでもない。
しょっぱいでもないし、辛いでもないし・・・

表現しようのない味のお料理を食べた気分になる。
美味しいかマズいかで言うと、おいしいと思う。
でも未知の味すぎて、美味しいと言いきれもしない。

言えるのは。目が覚めるような味だということ。
誰も作ったことないような料理だということ。

彼女の人生は。
そんなお料理のような、不思議な魅力です。
正直、毎日は食べられそうもないような。

胸いっぱいに広がる思い出なのか、悔恨なのか、
憧れなのか、楽しさなのか、哀しさなのか・・・
心に呼び覚まされるものたちの鮮やかな彩り。

そうだ。料理は目でも楽しむものなんだ。
それはそれは、とてもとても豊かな味でした。

(2017.1.8)
「敬遠したい女性」というイメージだった著者。
その生き方や行動だけ追えば、その印象は覆らない。
しかし、彼女の文章がすべてを変えてしまいます。

あっ!と叫んでしまうような。表現力と個性。
久しぶりに「神々しい」文才に出会った気がします。
彼女の文章に唸りっぱなしで読み終えました。

彼女の絵も実物を観てみたいな。
生き生きとしてチャーミングです。

弟の鴨居玲の絵は昔、大阪市立美術館で観ました。
いつだっけ、と検索してみましたら、1991年。
圧倒される「暗さ」でしたね・・・惹き込まれたなぁ。

とことん「陽性」に見える羊子さんも。
抱えていた孤独は底なしに深かったのだな・・・
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  • 2018年06月12日 (火)

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