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『クワイエットルームにようこそ』  松尾スズキ

4167717387
文春文庫
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ああ、勘違い。

「大人計画」の舞台で著者を拝見したことあります。
そのせいか。いや、私のいつものうっかりで。
エッセイだと思いこんで読み始めました。

ブックオフの100円棚で買ってきた文庫本で。
移動中に軽くてちょうどいいなぁと思って。
松尾さんのファンでもなんでもなくて。

えー。あら。おネエ喋り?
そーだったっけかな?
ふーん。いきなり。男にフラレる?
えっと・・・そっちの人だったけ?

いやはや。大いなる勘違い。
主人公が女性のフィクションなのに。
「松尾スズキ氏=オカマ」になっちゃって。
頭の中をクエッションマークが踊り狂いました。

軽いっすねー。ノリが。
内容は案外重いんですけど。
でね。ひとことで言うと、超下品!!!
特に冒頭は圧倒される・・・吐きそう。

だんだん慣れてきます。軽さも下品さも。
じわじわコレはスゴい作品かも、と思えてくる。
下品を突き抜けた爽やかさとキレがあって。

うん。「持ってる」ヒトですよね、松尾さん。
面白いんです、けっきょく。かなり。

冒頭が「え、ナニこれ、サイテー」なので。
ぐんぐん加速していく展開の妙が一層引き立つ。
で、最後に「ヤラレタ」感にどーっと襲われる。

ただひとつ気になったのは。
私には、主人公が「女性」に見えて来ないこと。
男性が描いた「女性」だとすぐにわかる。
内から見た女性でなく、外からみた女性。

要するにツクリモノめいている。
それが作風たり得ているとも言えるのだけど。

そもそも。登場人物たち自身が。
そんな「ツクリモノ」めいた自分を生きざるを得ない。
その現代的な哀しさが作中に充溢している。

どっちみち。ヒトは自分を「創作」して生きているんだ。
しかし。それをこんな風に表現されると怖いな。ツラいな。

その怖さを感じ取れるかどうかで。
この本の評価は大きく違ってくるんだろう。

(2018.1.27)
芥川賞候補だったそうですね。
近年の受賞作品を思い返してみれば、
この作品がもらっても良かった気がする。

ついでに、そのとき誰が受賞したのか調べてみた。
絲山秋子 「沖で待つ」・・・へーぇ。読んでみよう。
(絲山さんは一作しか読んでないけれど好感触)

選評を読むとこの作品は軒並み0点で。
宮本輝がただ一人、強く推しているっていうのが面白い。
あと。山田詠美の評にハッとしました。

ウィノナ・ライダー主演の映画「17歳のカルテ」の日本版ノヴェライズとしては上出来だが。

あ。言われてみれば・・・似てる気がする。
若きアンジェリーナ・ジョリーの存在感が半端じゃなく。
私の頭にはそれしか残ってないんですが。

私としては、この作品の惜しいところは。
「小器用さ」がチラつくところだと感じます。

一方、それは著者自身に密着した本性な気がするので、
それをなくすのは不可能なんだろうとも思います。
「小器用」であるところにも哀しみが実は漂ってもいる。

宮本輝氏は、それがわかる読者だったんだなぁと。
その点に妙にささやかに感動したりもしました。
ついでなので。その評を貼っておきます。

入院患者のひとりひとりが巧みに描かれ、しかも根底に書き手の愛情のようなものが確かに存在していると感じて受賞作に推した。他の委員の賛同は少なく、受賞には到らなかったが、松尾氏の次作を読みたいと思う。

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時々、写真や雑記も。

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  • 『クワイエットルームにようこそ』  松尾スズキ
  • 2018年06月19日 (火)

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