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『ふたりからひとり』つばた英子 つばたしゅういち 水野恵美子

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なぜ、私がつばた夫妻に惹かれたか。

映画「人生フルーツ」を観て。
ああ、こんな風に暮らしたいと思った人は多いだろう。
その暮らしはひとことで言えば。
この本の副題にある「ときをためる暮らし」。

野菜も果物も庭で作り。土も作り。
梅干しでも、干し柿でもなんでも作る。
自給自足とまではいかないけれど。
現代においては最上級とも言える「手作りの暮らし」。

でも。それは決して「自然」なことではない。
時代の流れから言うと、わざわざ選んでやっていること。
強いこだわりか意志がなければ出来ないこと。

この暮らしぶりが誕生した経緯が知りたくて。
つばた夫妻の聞き語りの本を幾冊か読んできた。

もともと、超お嬢さまとエリートの夫婦なのだ。
背景だけを見れば、彼らは海外旅行へ行きまくり、
外車を乗り回し、ブランド品を買い漁っていてもオカシくない。

老後の生活で貯金がゼロは驚くが、それは貧しいからではない。
単純に「使い切ってしまった」だけのことなのだ。

だって、しゅういちさんの趣味はヨットだったんです。
彼は手紙を午前中と午後とにそれぞれ5、6通書く手紙魔なんです。
(切手代が月に1万円以上!)

英子さんの立場にあれば。もし普通の女性であれば。
「わがままな旦那に振り回されて苦労した」と愚痴るはず。

しかし。そうではない。英子さんは我慢はしていない。
英子さん自身の言葉で語られる思い出から教えられる。
ただ、努力はしている。とても。とても。
そして、その努力を楽しんで生きてきた。

どうしても英子さんの目線で見てしまうけれど。
この夫婦は「だんだんと良くなってきた」組み合わせで。
似てはいないんですね、全然。正反対でもないけれど。

しゅういちさんが英子さんに教えたこともたくさんあり。
英子さんがしゅういちさんのために日々重ねた努力もあり。
どちらも、「人生の滋養」というか。いや「根本」というか。

二人とも、時代に流されない人だった。
食べ物の好みも、生活習慣も趣味も何もかも違ったけれど。
日々の生活を大切にするという意識は共通していた。

この二人に育てられた娘さんたちは東京で普通に暮らしている。
「人間らしい暮らしができない」と言いながら。
憧れても。この二人のように暮らすことは難しい。
それはこの先、どんどん、そうなっていく。

でも。絶対にやれないということもない。
やれないというより、やらないだろうとわかってくる。
憧れと現実を埋めるだけの熱意は結局、私には無い。

せめて。ただ、羨ましがるだけで終わらずに。
自分の暮らしの中で「変えられること」を考えてみようとし。
その「考えるひま」すらそもそも欠如していることに気付く。

この忙しさはどこから来るのか。
その忙しさを本当に私は憎んでいるか。
ずっとやってきたことだから、この先も続けて行けるし。
すっかり馴染んだ暮らしなのだ。

できることからコツコツと、の感想で終えるのは簡単。
でも。そう言ってしまうとそれで安心して何も変わらない。

見習いたいけれど。見習えないか。
なんだかねぇ。憧れと励ましを感じつつ、虚無感に捉われる。

英子さんからのエール。たぶん、現代の私たちへの。

人はたくさんの個性を持っているから、自分のやりたいことに気づいてコツコツ続けていれば、きっといいことがあるわよ。
最初からりっぱなものをつくろうなんて考えないで。何でもいいから、自分の好きなことをやって、それを続けていると見えてくるものがあるから。それが大事なのね。ささやかなことでいいのよ。

ああ。この優しい励ましすらも刺さるほどに。
その「ささやかなこと」すら見失って生きている。

(2018.3.20)
修一さんがお亡くなりになられて。
それでも。英子さんは生活を崩さずに過ごしていらっしゃる。
多少のアレンジは加えつつ。穏やかに逞しい。
また、読み返したいな。しゅういちさんの言葉もいいの。
目線は英子さん寄りになりがちだけれど。
ふっと。修一さんの気骨ある変人(褒めてる)ぶりに癒される。
その修一さんはよくこう言っていたそうです。
「がまんしてやらないほうがいいよ」
「毎日楽しいことだけ考えてやったほうがいいよ」


「★★★★★」 また読みたい本
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  • 2018年09月15日 (土)

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