FC2ブログ
Loading…
 

『殺しの仮面(下) 』ヴァル・マクダーミド  


なんか、やっぱり、好きな世界。

キャロルとトニーが好きだな。
面倒くさい性格だけどね、二人とも。
どちらも他人と馴れ合わない生き方をしている。
だけど。強くはない。そんなに。

無惨過ぎる殺人の被害者を前に。
防げなかった殺人の犠牲者を見た時に。
主人公のキャロルは、こう言う。

「わたしは、怒りをうまくエネルギーに変えるようにしてる。怒りから力を得て、それを活用することでぎりぎりまでがんばって、さらにはそれ以上にがんばれるようにしてるの」

しんどい。やっぱ、しんどいわ。
でも。彼女はそれが割と平気で出来る人格でもあった。
ある事件を境に、それがうまくいかなくなった。

立ち直るために選んだ方法も。
ま、美しくはないよね。
共感もたぶん、呼ばない。

キャロルもトニーも。
半分壊れてる人間という印象を受ける。
それを当人たちが自覚しているとも。

それでも。その欠陥をある意味で武器として。
生き抜いて行ける強かさがある。

トニーの言葉によくそれは表れている。

どんな人間でも、自分の過去を振り返れば、反社会人格障害誕生に至る長く複雑な道のりの第一歩を示すいくつかの指標を見られることに気づくはずだ———その道を最後まで歩んだかどうかは別にして。


さりげない描写に生活感とか人柄が表れるところも好き。
たとえば、こんなの。

CDプレーヤーのスイッチを入れ、アルヴォ・ベルトの<アリーナ>を押し込んでから、彼の隣にすわる。ふたりのあいだには、心を決めるとき、それほど深刻にならずにすむ程度の距離があいていた。ピアノとヴァイオリンの軽妙な調べに助けられて、会話はすんなりと始まった。

で。さっそく、アルヴァ・ベルトをAmazonで検索しましたとさ。
視聴してみて、「なるほどね」と思いました。

細部が好きなんだよね。住居の情景とか。
だけど、その細やかな描写が殺人場面に適用されると正直辛い。

(2018.11.4)
殺人犯に共感や同調はしませんが。
それにしたって。本作の犯人、最高に憎たらしい。
こういう人間がいちばん、嫌いだし、怖い。
ま。その点、最後に溜飲が下がりました。


関連記事


  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://raffiner.blog70.fc2.com/tb.php/3517-2e9cfb80

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

このサイトはAmazonアソシエイトに参加しています。

表示中の記事

  • 『殺しの仮面(下) 』ヴァル・マクダーミド  
  • 2019年03月07日 (木)

カテゴリ

カテゴリー 月別アーカイブ

 

***