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『あのころのデパート』長野まゆみ


愛情表現が下手過ぎません?

著者も、著者のお母様も、デパート勤めだったそうで。
昔のデパートの思い出話、裏話を集めたエッセイです。
これがねー。ほっこりしないんです。

読む人は、懐かしいイイ話、を期待すると思うのですが。
ほぼ全編、悪口や愚痴に近い感じのネガティブな話。

実際に書いてらっしゃる場合もあるし、
書いていない場合でも、彼女はこう言っているんです。

「だからデパートは駄目なのよ」って。

それが愛情の裏返しというのはわかるんですが。
まぁ。読んでる側の気分は下がりますね。

それに。現代の百貨店事情なら、私の方が詳しいし。
彼女の愚痴にはまったく、賛成できない。
あなたの頃より、今の方が厳しい職場環境ですから!

バブル期直前の、不況の底の時代にわずかな期間だけでパートの社員だったわたしには、なんのアイディアも浮かばないが、近代の日本の消費者をつくりあげた元祖としての意地と底力がデパートにあるだろうから、今はただ、それを見せてもらいたいと思っている。

ここに、著者の思いが描かれていると思いますが。
どうも殊勝げなフリして悪口みたいなこき下ろしが多い。

デパートの「あるある」は。
今も昔も変らない部分も多々あったりはする。
でも彼女の書きようは、感じが悪い。

個人的な感想なのに、ちょっと上段に立って言うのね。
いや、あなたの狭い経験の中の、偏狭な意見じゃないの。
それを歴史や経済の目線で語るポーズ取るってヤな感じ。

お母様の時代の話や、家族でデパートに言った頃の話や、
細々したしきたりや、職場ルールなんかの話はね。
なかなか、丁寧に書いてあって面白いの。

私には当たり前に思えることも少なくないけれど。
あえて店外の人の目で見てみると、不思議なこともある。

なんか。勿体ないな。
同じ主題でも、描きようで全然印象は違ったろうに。

ただ。内部を知ってると。
こういう風に書いてしまいがちなのはわかる気がする。
私がデパートについて書こうとしても似た雰囲気になるかも。

長野まゆみさんの小説は、昔は結構好きでした。
段々、彼女特集の「狭さ」が受け付けなくなって。

いえ。そもそも。
「小宇宙」的な閉じこもった世界観が魅力なわけですし。
そういう「狭さ」が私はもともと好きだったりするのですが。

それでも。何か。窮屈で。
ひどい言い方だけれど。飽きてしまって。
いつからか、読まなくなりました。

私の場合は、よくあるお馴染みのパターンで。
「初期の作品は好きだったのに」っていう・・・ね。

このエッセイを読んでみて。
あぁ。やはり、この人はあまりにも・・・
えーと。あまりにも。なんだろう。
 
なんて言ったらいいんだろう。
視点が固定され過ぎているな、って。
そのこと自体が問題な訳ではなくて。

私なんかが言えることでないのは承知しつつ。
どうにも「惜しい」感じの人です。
独特の言葉遣いとか世界観とか、素敵なんだけどな。

読者を不快にするのもある意味、才能だろうけれど。
今回、それが必要だったとも思えないし。
まぁ・・・案外、不器用な人ってことかな。

(201812.16.)
なんかね。著者の小説に出て来そうな。
好きな子に意地悪してしまう男の子みたいだな。
だから。ほんのり可愛げはあるんですよ。
大分、分かり辛いですけれども。

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  • 『あのころのデパート』長野まゆみ
  • 2019年05月06日 (月)

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