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『絶望図書館』頭木弘樹

2019.08.20 未分類   comments 0
 ちくま文庫
 Amazon




タイトルに呼ばれて。

絶望しているわけではないのですが。
こういうタイトルでどんな本が並ぶのかと気になって。
私てっきり、内容は本の紹介だと思い込んでました。

違うんですね。
古今東西様々な短編のアンソロジーでした。

以下、アマゾンから内容説明の一部を拝借。
なんとも、小洒落てます。

絶望図書館 ご利用案内絶望図書館 ご利用案内

この図書館は、
「絶望的な物語」を集めてあるわけではありません。
「絶望から立ち直るための物語」を集めてあるわけでもありません。

絶望して、まだ当分、立ち直れそうもないとき、その長い「絶望の期間」をいかにして過ごすか?
そういうときに、ぜひふらりと館内に入ってきてみていただきたいのです。
ここには世界中からさまざまなジャンルの物語が集めてあります。
児童文学、SF、ミステリー、エッセイ、口承文学、現代文学、日本文学、海外文学、マンガ……。
古今東西から、これぞという作品を選りすぐってあります。
絶望的な話もあれば、笑える話もありますし、せつない話、とんでもない話、どきりとする話など、さまざまです。
しかし、どれもすべて、絶望した気持ちに寄りそってくれるものばかりです。
今の気持ちにぴったりな、心にしみる物語がきっと見つかるはず。

絶望したときの気持ちは、誰にもわかってもらえないもの。
でも、文学だけは、わかってくれることがあります。
また、今の自分だけがこの作品を本当に理解できると思えることがあるものです。
そういう物語との出会いは、
それで何か解決されるわけではないのですが、
しかしそれでも、命綱となることがあります。

こういう図書館が世の中にひとつくらいあってもいいのではないでしょうか。

私、昔は「絶望の名人」だったのですよ。
近年は「絶望下手」になってしまいました。

それだからかどうなのか。
本書に収められた短編からあまり「絶望」を感じませんでした。
「普通」じゃないか。別に「絶望」でもないよ、って。

うん。やっぱり。もう「絶望」できなくなっているんです。
「絶望」できるのはある意味、「強さ」なんですよ。

弱い人間が「絶望」するのではありません。
本当に弱い人間は「絶望」を回避します。

「絶望」というのは。
徹底的に、苦しみに立ち向かっている姿だと思います。
心がね。全力で苦しむことができる、それは才能です。

私は絶望から逃げて誤魔化せるようになってしまった・・・

でも。収められた作品はどれも面白かった。
李清俊の『虫の話』だけは。
これはもう「ザ・絶望」だと感じました。個人的に。
すごい作品だな。怖いくらい。

著者がこの本に入れられなかった幻の短編について書いており。
実はそれが最高の「絶望作品」かもしれない。
いや。待て。もはやそれはホラーではないのか。

「絶望」ってなんだろう。

文字どおり「希望を絶つ」あ、「絶たれる」か。
要するに希望を失うことなわけでしょうけれど。

その状態が永遠に続くのか、乗り越えられると思えるのか。
もしくは共存していけるかで、色合いは違ってくる。

私はね。
なんどもなんどもなんども、絶望したんですね。
幼い頃から、ありとあらゆること、ありとあらゆる場面、
そして、ありとあらゆる自分自身の側面や内面、に対して。

で。いわば。「絶望慣れ」してしまった。

絶望しても、その絶望から抜け出せることを知ってしまった。
いや。まぁ。もしかしたらずーっと絶望し続けていて。
それが普通すぎて麻痺してるだけなのかもしれないけれど。

絶望から逃げている、と先に書きましたが。
そこまで強く、絶望の存在を意識してもいないんだな。
目をそらしているというくらいが近いかもしれない。

絶望の気配を察知するレーダーが発達して。
あ。あの辺にあるぞ、来るぞ、と気づくと。
遮断カーテンだか、シャッターだかを下ろして。
しれーっと、やり過ごす。

いや。絶望はそんな風に「訪れる」ものでもないか。

良い方に捉えれば。
私は「絶望」するよりも、
コツコツと「小さな希望」を見つけ続けることに。
邁進できるように、なったのかもしれない。

皮肉にも。「絶望」の方が強い動力源になるみたいで。
「絶望」している時の私の方が「創造的」だったりするのだけれど。

だから。私は「絶望」が懐かしく。
「絶望」していた時の私の方が好きだったりして。
「絶望」がたまには帰ってきたらいいのになんて思ったりもする。

でも。たぶん。やっぱり。絶対に。
もう、絶望の海に沈むことはやめにしたいと考えているのだ。

「絶望」が私に与えたものはある。
私が懐かしんでいる、かつ惜しんでいるのはそれなのだ。
望んでいるのは、「絶望そのもの」の再来ではない。

あるいは。

私は穏やかに緩やかに静かに。
絶望し続けているのかもしれない、今も。

だから。求めずとも絶望は常に傍にあり。
拒まずとも絶望は敵対するものでもなく。
共存していける存在なのだろう。

本書の最後に引用されていた言葉で締めくくりましょう。

本には、
悲しんでいる人を
助ける気持ちなんか、
ちっともないとしても、
本を読んでいる間は、
ぼくは本にしっかり
すがりついていられる。

   フランツ・カフカ


(2019.3.8 読了)
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  • 2019年08月20日 (火)

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