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光の領分    津島佑子

4061962418
講談社文芸文庫
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わかるような気がする。とても。
娘を連れて、夫と別れようとしている女の話。
不思議に、そこには静けさがある。
ままならないものだ、人の気持ちなんて。

きっと、ひと昔前の私なら、
主人公の気持ちを我儘、としかとらなかったに違いない。
でも、今、悲しいくらいに、実感できてしまう。
そう、そうなんだ、そうだよ、と。

どうにもならない感情と呼ぶにはもっと原始的な、
想い以前の「念」のようなものに流されて生きていく日々。
平凡でありながら、穏やかではない日常。
自分の望むものもわからず、
自らの息遣いすら重苦しく感じながら、紡ぐ暮らし。

しかしその苦しさを、美しい情景として映し出す才能が著者にはあり、
それが、作品全体を淡い光でぼんやりと包み、照らしている。
佇まいに、品がある。

(2006.10.5)
読む側の精神状態によって、その様相をガラリと変えるような、
良くも悪くも女性らしい濃密な感性が文面を覆っている作品、と
そんな風に記憶しています。
おそらく今読めば、また異なる感想を抱くだろうと思います。



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  • 2010年09月02日 (木)

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