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『テロル』ヤスミナ・カドラ

テロル (ハヤカワepiブック・プラネット)
早川書房
Amazon

 

文章の力を感じたのは久しぶりのことだ。

衝撃的な幕開けから、さらに言葉を失うラストシーンまで、
物語の力強さにも圧倒されるが、それ以上に、
簡潔な美しさがまるで詩のような、比類のない文体に惹き込まれる。

同じ内容の物語を、もし、ヤスミナ・カドラ以外の作家が書いたなら、
きっと私は読み通すことはできなかっただろう。
主題の重さもあるし、主人公の心の動きにもうんざりして
付き合いきれなかったに違いない。

何を語るか、よりもいかに語るか、なのだと思わされる。
絶望が物語の根本に深く浸透していて、
しかし、そこに著者が浮かび上がらせる「希望」は、
成就される可能性は全く見えないままに、ひたすらに美しい。

透徹した文章の美しさに魂がさらわれていくような、
時空を越えて異次元に入り込んだような時間を、読んでいる間、私は過ごした。

(2007.10.9)



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彩月さんのこの記事を拝読してからだいぶ時が経ち、
やっと本書を読むことができました。
ヤスミナ・カドラの初体験です。
テーマが非常に重く、
かつ私の日常からは想像を超えるものであるにもかかわらず
最後まで倦むことなく読み進めることができました。

雪の間は遠方の図書館に行くことはなかなか出来ず、
ようやく「これからは期限内に返却に来られるかな」という時期となって
ささやかな高揚感と共に訪れた数ヶ月ぶりの街の図書館で
すぐ見つけた一冊でした。
隣りには「昼が夜に負うもの」。
来週、「テロル」と交換でこれを借りる予定です。
自分だけではおそらくこの著者には出会えなかったでしょう。感謝。
2012.03.24 23:02 | URL | ハル #JyN/eAqk [edit]
過去記事へのコメントで失礼します。
以前、こちらのブログで初めて「ヤスミナ・カドラ」という作家を知りました。
やっと「テロル」を読む機会を得たのでご報告です。

この重い内容の本を私が読み通せたなんてすごいことです。
悲劇的ともいえる物語なのに、
まるで無音の白黒フィルムのように
さらさらと流れていきました。

この物語に登場するすべての人物が
自分なりに懸命に「生きて」いること。
それが、彩月さんのおっしゃる「希望」なのかなと
思ったりしました。

ご紹介、ありがとうございました。
2012.03.24 23:04 | URL | まいまい #JyN/eAqk [edit]
テーマ・・・重いですよね。
この主題でこういう小説が書けることに驚きました。

もう一冊読んでみたいと思われたということは・・・
ハル様のお目にかないましたかしら?

出会ってまだ日が浅き時、生意気に本を薦めた自分が。
今更に恥ずかしく・・・。出過ぎた真似をしました。
それくらい、あの頃、ハル様の訪問が嬉しかったのです。

今一番好きな本を紹介したい、と子供みたいでしょう?(笑)

「昼が夜に負うもの」はまた少し、趣が違って。
やはり、でも、うん。私は大好きなんですよ。
ハルさまにも、よい読書の時間を届けられるといいな。

こちらこそ。読んで下さってありがとうございます。
2012.03.25 19:39 | URL | 彩月氷香 #- [edit]
過去記事へのコメント、大歓迎です!

2件、同じ日に同じように「読みました」という、
私にとって何より嬉しい報告が入っていて吃驚しました。

ほんとう。白黒フィルムのよう、ってわかります。
映像的だけれど、静謐で・・・主題の重さを思うと不思議。

私の拙い紹介に、「読んでみよう」と感じて下さったこと、
こちらこそ、深く感謝です。ありがとうございます。
2012.03.25 19:46 | URL | 彩月氷香 #- [edit]


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  • 『テロル』ヤスミナ・カドラ
  • 2010年03月02日 (火)

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