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アホウドリの糞でできた国  古田 靖 寄藤文平

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アスペクト
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ナウル共和国。
地球温暖化で海に沈むだろうという、小さな島。
サンゴ礁に集まってきたアホウドリの糞が堆積して、
できたのだと言われている、南の島。

自給自足でのんびり暮らしていた島民は、
この国の資源、燐鉱石を求めてやってきた先進国に占領される。
最初はドイツ、次にイギリス、オーストラリア、そして、日本。

やっとめでたく独立した折りには、その燐鉱石で得る収入で、
国民が全く働かずに遊び暮らせるという、夢の島となった。
教育、病院、電気もタダ、結婚すれば家ももらえるのである。

そんなある日、燐鉱石が遠からず枯渇するという事実が判明。
さて、焦ったナウル共和国がとった政策とは・・・。

ここからが本番、ですが。気になる方は本書を読んでみてください。

もう、あまりの行きあたりばったり、その場しのぎの政策が、
次から次へと湧いて出て、それが当然の如く、バタバタとコケて、
ますます状況が悪化して行く様は、もはや、悲惨さを通り越して、
おとぎ話めいた、ブラックジョーク・・・。

そもそもこの本は、寄藤文平氏のイラストがふんだんにあしらわれ、
古田靖氏の文章も小学生も読める易しさで、絵本の様相を呈している。

一国の歴史が童話か昔話のようにシンプルに語れてしまうのは、
この国の物理的な小ささ(東京の品川区ぐらい、車で一周約30分)、
国民性の素朴さ、素直さ、産業の無さ、といった要素によるところも
大きいには違いないのだけれど・・・。

案外、肥大化した資本と文化、それによって生まれた多様な嗜好、
などを削ぎ落としていけば、どんな巨大な国家も似てる気がする。

暮しって、何なんだ?人間の幸せって何なんだ?
人間らしく、とか、充実した暮らしとか、簡単に言うけど、それナニ?
文化も働くことも忘れたナウルの人々を笑ったりは出来ない。

嫌が応にも「国」単位の価値観から自由になりきれずに生きている、
私たち現代人にとって、自分の住む国が安泰であることが重要なのは、
ナウル共和国の人々となんら変わることはない。そして。
・・・海に沈まなくとも、国は沈むのだ。

そんな、とても大事な、国の行方を定める方針が国民の(無言の)
物質的豊かさを限りなく求める欲求にコントロールされていることも、
ナウル共和国と同じではないか?
キレイごとのご託で飾って、「権利」「自由」と言ってはみても。

小さな、愛らしい絵本に込められた思いは、掘り尽くせないほど、深い。

(2010.9.21)
このスタイル、様々な可能性があるなぁと思います。
知性とセンスがなくては書けないものだけど。
同じような体裁で、他にも色々面白い作品は作れそうな気がする。

「すぐ読めて満足感あり」な本を紹介して下さいという呼びかけに
イチ早く応えて下さったキヨハラ様のおかげで出会えた、本書。
ほんとうに、すぐ読めて満足できる、おトクな本です。
時間がないけど読書がしたい、という方にお薦めします。
キヨハラ様ありがとうございました。いい息抜きになりました!

「すぐ読めて満足感あり」の本、に関する事情をご存じなくて、
知りたい方は、こちらをご覧ください→「コメント大募集!」

キヨハラ様に続き6名の方が、思い思いに沢山の本を推薦して下さって、
只今、19冊がエントリー。すでに読んだことある本もあったのですが、
読んでいない本は、少しずつ読んでいるところ。
順次、感想はアップしていきます。時間はちょっとかかっちゃいますが。

今もひっそり募集中なので、思いつく本がある人は、
どうぞ、お気軽にご参加ください。
なぜかまだ、一冊もミステリが無いんだよね・・・



関連記事

あ、これ、ご覧になったのですね。(今頃になって、こんなコメント、ごめんなさい)
お手軽に満足感も得ていただけたようで、うれしいです。

「おとぎ話めいた、ブラックジョーク」って確かにそうですね。
寄藤文平氏のイラストが、その味を最大限出しているように思います。
2011.04.15 20:21 | URL | キヨハラ #/.OuxNPQ [edit]
よく、この記事に辿りつきましたね!
埋もれた過去記事まで読んで下さって嬉しいです。
こちらこそ、今更ですがありがとうございます。

寄藤文平氏のイラスト、素敵ですよね。
つくづくと、あのセンスには感心させられます。
ドキっとする毒がありつつ、トボけた味もあって。
2011.04.16 06:55 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]


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  • アホウドリの糞でできた国  古田 靖 寄藤文平
  • 2010年09月28日 (火)

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