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『モノレールねこ』加納朋子

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文春文庫
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さりげなく、あたり前のような日常のなかに、事件は起こる。

人はずうっと、長く長く、心にその傷と痛みを抱えて、
でも、何でもないというふりを表向きは装いながら、生きている。

失くしたものは、何だろう?
見えていて、目を逸らしているもの、
見えていなかったことに、ある時ふいに気付かされるもの。

・・・どちらにしても、それは見つめる勇気を持った時に、
思いがけなく、ゆるやかに姿を表し、光を取り戻す。

ズキン、と胸が痛くなる、でもほんのりと甘い切なさと、
ふんわりと背中から、そうっとかけられる優しい思いやりと。

笑い泣きしたくなる、ちょっと痛い愛おしさに満ちた8編。
ああ、いいなぁ・・・。描写の端っこに漂うユーモアも。

表題作「モノレールねこ」も、もちろん、いいし。
「マイ・フーリッシュ・アンクル」も、いい。
「シンデレラのお城」も「ポトスの樹」も。それから、それから・・・

ようするに、全部、いい。

だけど。一つを選ぶなら、間違いなくこれ、「バルタン最後の日」。
こんなに、とある生き物(ナイショ)を愛おしく思えるとは・・・

泣きました。加納さん、この涙の責任をとってください。
私、まさか、***(ヒミツ)のために泣く日が来るとは、
思ってもみませんでしたよ・・・。

私のお気に入り短篇のランキングを作るとしたら(考えただけで頭痛がするけど)
絶対に、かなり上位に入ります。

人間の弱さを否定せず、かといってかばおうともせず、
まぁるく包みこんでくれ、寄り添ってくれる。
黙って、立ち上がるのを見届けてくれる・・・そんな印象。

著者の人柄が表れているのだろうなぁ、この優しさは。
何気ない日常をみつめる眼差しの温かな人なのだなぁ。

(2010.11.1)
この本も「すぐ読めて満足感あり」のシリーズの1冊です。
紹介者の奇堂さん、ありがとうございます。最後の一編、私も大好きです。
「ななつのこ」も読み返したいですね。続編を読むために。



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彩月さんの流麗な感想の後に僕のような怪生物がコメントをつけていいのだろうかと小一時間ほど迷いました。

しかも、何か激しく連投しているようで気が引けます。が、紹介者特権を駆使して堂々…こっそりとお邪魔します。

まず、僕には逆立ちしても書けない感想、ありがとうございます。
加納朋子の魅力は僕では語りえません。

「バルタン最後の日」を読んだ時に僕は「加納朋子、新境地開拓!」とか思って喜んでいました。(ちなみに、僕の忘備録にはこれだけしか書いていないので、猛省)

それと、小説の内容通りの印象を受けるカバーイラストも好きだったりします。

今、思い出したのですが、「続・コメント大募集。」でのコメントでバルタンの正体を思いっ切り書いちゃってますね。うん、えーと・・・、スルーで!

背表紙にも載っているので、楽しみな方はそれも見ない方がいいかもしれませんね。
2010.11.06 02:15 | URL | 奇堂 #5Gg6z9h6 [edit]
そう、実はね、バレてるんですよね。
ま、私みたいに、うっかりな人なら、気付かないかな?と。

背表紙とか、全然、読まないんですよね~、私。
読み終えてから気づく。ひどいと、表紙もロクに見てない。

というのも、本を常に持ち歩く関係上、
すぐにカバーをかけちゃうからなんですよ。
文庫カバーなんて、売るほど持ってます、おかげで。

何読んでるか、世間様に公表はできませんねぇ。
別に怪しいものは読んでないけど・・・でも、ヤダ。
時々、カバーなしで読んでる人を見掛けると、
何故か、こっちが恥ずかしくなっちゃいます。

カバーイラスト、確かに雰囲気、似合ってますね!
2010.11.06 20:48 | URL | 彩月氷香 #- [edit]


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プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

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  • 『モノレールねこ』加納朋子
  • 2010年11月06日 (土)

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