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村田エフェンディ滞土録  梨木香歩

4043853017
角川文庫
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1899年。世界大戦がまもなく始まろうかという、
乱世の予感のする時代。場所はトルコの首都イスタンブール。
留学中の学者、村田の目線で淡々と綴られる日常生活。

彼は、毎日下宿の仲間と議論したり、拾った鸚鵡に翻弄されたり、
神様同士の喧嘩に巻き込まれたり・・・些細ないざこざが楽しい、
爽やかな笑いに満ちた日々を送る。

端正とも地味とも言える、しかし独特の芳しさのある語り口。
ほんの数頁読んだだけで、物語の世界に一気に惹き込まれた。

何でもない会話から、多くのものが見えてくる。
人、人種、国、国民性、歴史、生き方、そして、世界。

現代とは大きく異なる文化、世界情勢。なのに、とても身近に感じる。
登場人物たちも、それを取り巻く出来事も、それぞれの思いも。
時を越えて不変のものが、そこには確かにある。

最終の頁を読みながら、私はボロボロと泣き、
この物語に込められた真摯な祈りの声を聞いていた・・・。

深く、心に残るものがある。それは輪郭のあるメッセージではない。
大切なものは、よく見えない。ただ、「感触」だけがある。
何度でも、その存在を確かめたい、そう思わせるものが。

(2010.11.30)
生意気で、お喋りな鸚鵡に笑わされます。
「ディスケ・ガウデーレ」・・・誰に教えられたものか、
セネカの言葉を叫ぶ、ちょっと哲学的でもある鸚鵡。
その言葉の意味は、「楽しむことを学べ」

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あ~、これはワタクシが長いこと「つんどく」にしている本です。
他の梨木作品と雰囲気が違う気がして後回しにしたら、月日が過ぎてしまいました。
こうして紹介していただくとおもしろそうですね。
人、人種、国、国民性、歴史、生き方、そして、世界・・ですか。読んでみます。

遅ればせながら、試験惜しかったですね。あと1点なんて惜しすぎです。
でも手応えありだから、次回はOKですね。若い方は毎日が進歩でうらやましいです。

(ちなみに街路樹はたぶんハナミズキだと思います。いろいろ詰め込んで書いて失礼しました。)
2010.12.02 23:10 | URL | まいまい #x610XEa2 [edit]
確かに、他の梨木作品とちょっと雰囲気が違うかも・・・
私は今年読んだ本の中のベスト5に入るくらい、お気に入りです。
傑作だと思います!ぜひ読んでみてください~

試験、来年、もう一度チャレンジします~。
いや、そんな若くはないですので、記憶力が怪しいですけれど。

ハナミズキ! あぁそうだ! あまりに小ぶりなので、
ピンと来ませんでしたが、ええ、きっと、そうです!

ありがとうございます。ひとつ謎が解けてスッキリしました。
2010.12.02 23:24 | URL | 彩月氷香 #- [edit]
過去記事へのコメントで失礼します。
読み終えました。
この一冊に詰め込まれた時空の広さと深さ!

人はこうして分かり合えるのに
なぜ戦うんでしょうね。

彩月さんの記事がなければ,
この本は読まずに終わっていたかもしれません。
感謝,感謝です。ありがとうございました。
(あ,やっぱり梨木香歩!でした。)
2010.12.14 09:51 | URL | まいまい #x610XEa2 [edit]
> この一冊に詰め込まれた時空の広さと深さ!

まいまい様のこの一文に、また感動が甦ってきました。
さっそく読んでくださったなんて・・・、
こちらこそありがとうございます。

ぎゅっと凝縮されているのに、広々としていて。
余韻がずっと心に響いて波紋を広げていくような・・・
私がたぶん、一番好きな小説のカタチだと思います。

ふふ・・・やっぱり梨木香歩、ですよね♪
お稲荷さんの件とか、面白かったですね~
2010.12.14 10:21 | URL | 彩月氷香 #- [edit]


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時々、写真や雑記も。

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  • 村田エフェンディ滞土録  梨木香歩
  • 2010年12月02日 (木)

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