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秋の牢獄  恒川光太郎

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角川ホラー文庫
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ひとことで言うと。
「美しい」
・・・文章が。
・・・世界観が。

救いのない、行方の見えぬ哀しさ。
なのに、絶望の暗闇ではなく、
白い清冽な光の印象がある。

いいえ。
大きな口を開けて日常を飲み込もうとしている闇は、
確かにあるのだ・・・それなのに。澄んだ空気を感じる。濁りがない。

秋の牢獄とは。まさに。
その美しい束縛を言い表している。

希望とは縁のないもののように思える3つの物語。
私は、そこに自分の秘かな信念が形となっているのを見る。

孤独の強さ。

真の孤独ほどに強く美しいものはない、と。
おそらくそれは、口に出して言ってはならぬことと、
隠しながら、私がずっと信じつづけていること。

淋しさというより、根源的な、「個」の悲哀。
切なさよりも、厳しい、「個」の悲痛。
それは、「無限」へと、つながっている。

誰もが目を逸らしている事実に、真っすぐに視線を向け、
揺らがずに立っているものの姿。
それは、はからずも「異形」でしかあり得ないのか。

そうは、思わない。
誰もが、ほんとうは、生まれながらに持っているものだ。
ただ、隠して、押し殺して、生きている。
それが間違っているだなんて、言えない世界に生きている。

魔物たちは、私たちの姿なのだ。
単純にそれが醜いだなんて、とうてい言えない。

(2010.11.29)
ホラーと、分類される恒川氏の小説。うーん。怖い?
私は、何故か、懐かしいような安らぎを感じます。
冷たく澄んだせせらぎを見るような、不思議な心地良さと。


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  • 秋の牢獄  恒川光太郎
  • 2010年12月03日 (金)

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