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燈台へ  ヴァージニア・ウルフ              

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みすず書房
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スコットランドの北の果てで、夏休みを過ごす一家。
哲学者の夫、美人で世話好きな妻、8人の子どもたち。
ひとくせある、客人たち。

こう書くと、心温まる一家の物語のようだが、
作者がメイ・サートンであるからには、そんなものとはほど遠い。

登場人物それぞれの思考を独白の形で、細やかに描写していく。
とりとめもなく延々と続く「つぶやき」の羅列に最初は戸惑った。

正直とても読みづらいスタイルで、苛立ちすら覚える。
それでも読み続けるうちに、一見とりとめない文章が
隙なく計算されていることに気付かされる。

すぐ近くにいる愛する人の心でも、人間は理解できない。
思いは常にすれ違い、すれ違っていても、愛情が通じている。

思いも一点には定まらず、漂い、舞いあがり、沈み、霧散する。
一度に幾つもの考えが、頭の中を交錯する。
思考に固まる前の、人の頭のなかにある断片的な思い、ひらめき、感情。

とらえどころのない一瞬をつかみとる、サートンの力量。
物思いにふける習慣のある人間なら身に覚えのあるであろう、
世界と自分の溶け合う至福とその儚さを、見事に表現している。

紛れもない、傑作。

(2010.2.14)




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  • 2010年03月06日 (土)

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