FC2ブログ
Loading…
 

河井寛次郎 生命の歓喜

7999c93d1a09998ed956f1e805a0c835.jpg

この展覧会を見たいがために少し、遠出をしました。
寛次郎は好きで、何度も見ているのだけど・・・、
今回は今まで人の目に触れたことない作品が多数、と聞いて。
愛染鳥子 大正10(1921)年頃    辰砂刷毛目扁壷 昭和12(1937)年頃
b7554918e25f832cd8d24393660352e4.jpg30cb3672051c5a56cb7a89d59a03e568.jpg

まぁ。こんな愛らしくも優しい像が!30代の作品で初展示ですって。
器も、初期のものが珍しく、貴重に感じました。
世に広まっている、寛次郎のイメージより繊細な作風で、優美。
晩年の大らかな温かさも好きですが、それより少し張り詰めた印象を持つ、
薄手で技巧も凝らされた作品に目を瞠りました。(写真がなくて残念・・・)


白地草花絵扁壷 昭和14(1939)年

こちらはいかにも、寛次郎。でも、やっぱり、いいのです。
彼の作品は一見、どこにでもありそうな穏やかな色と形で。
けれど、見飽きない深い「滋味」というようなものがあって。
見つめ続けていると心が安らかになるのです。

書をよく書いた彼の言葉は、素朴で力強く誠実。他にも、
「此世は自分をさがしにきたところ 此世は自分を見に来たところ」
「暮らしは仕事 仕事は暮らし」
「何といふ今だ 今こそ永遠」
「助からないと思っても 助かって居る」

などの言葉が自筆で、挿絵つきで書かれたものが展示されていました。

葡萄狐図壷 大正正5(1916)年
kanzi.jpg
 饗応不尽(きょうおうぶじん)

 無数のつっかい棒で支えられている生命
 時間の上を歩いている生命
 自分に会い度い吾等
 顧みればあらゆるものから歓待を受けている吾等
 この世へお客様に招かれて来ている吾等
 見つくせない程のもの
 食べきれないご馳走
 このままが往生でなかったら
 寂光浄土なんか何処にあるだろう


人を愛し、人に愛されたことが作品からも遺した言葉からも窺われます。
私の大好きな柳宗悦(民藝運動の父)とも親しく、柳の死去の際は、
悲しみのあまりに葬儀に参列できなかったといいます。

そして、寛次郎が柳に贈った言葉が素晴らしい。
「道を歩かない人 歩いたあとが道になる人」
まさしく、柳宗悦の人となりが、ここに凝縮されている。

書も、「言葉」から、彼の造語の「四字熟語」へと変わっていく。
これも味わいがあって面白いのだ。
「泥身火魂」「人高天高」「身捨救心」
「眼聴耳視」「心刀彫身」「手念足願」

・・・などなど。ここにも彼の人柄が表れている。

愛用していた机や文具(彼がデザイン、もしくは作ったもの)を並べ、
彼の住まいの雰囲気を再現してあったのも目に楽しかった。

そこに、芹沢介の屏風なんかが何気なく置いてある。
お弁当箱だって、黒田辰秋の作った組立式のもの(便利!)だったりする。
美しく実用を重んじた暮らし・・・民藝の思想のままに生きた人。

河井寛次郎記念館(彼の家)にも訪れたことがあるのだけど。
彼の暮らしぶりとその作品がよく馴染む、素敵な空間なのですよ。

あとね、新聞に書いたという挿絵(小間絵)が可愛くて。
蒲公英や土筆、蝉、蟋蟀、鼠、魚、鶏、犬・・・。
墨で描いたものなのだろうけど、とても伸びやかに繊細で。
思わず眺めているだけで笑顔になるような。

展示場をさ迷い、お気に入りの焼き物を何度も観に行きました。
とても幸せな時間でありましたが・・・観覧者は年配の方ばかり。

彩月だけが飛びぬけて若い。私、ちっとも若くないはずだけど・・・
久しぶりに自分が若者だという錯覚に陥りました(笑)
何でだろう、若い人は寛次郎は知らないのかな、興味ないのかな?

「個人蔵」の作品が多く。私は所有者が羨ましくてならなかった。
私も一つ、湯呑か、お皿か、欲しいなぁ。こういう器を使いたいなぁ。

彼の家は、お客が絶えなかったので、喰籠(蓋付きの大きな器)で
茶碗蒸しを作って取り分けたりしたそうで。
もちろん彼の作でね、これも温かみのある、いい器でした。

好きな陶芸家は他にもいるけれど、使いたい器を焼いた人という点では、
私にとって寛次郎が一番、かもしれない。(あ、浜田庄司も好きだけど)

日々の暮らしの平穏が美と共に歩み、
気張らずに、けれども品格を持って佇むという奇跡が、
彼の作品には、誠実に、心温かく、真摯に、実現されている。

寛次郎の焼き物や書や木彫りの素直な優しさに触れると、
暮らしの豊かさを確かな足取りで選びとっていくことの喜び、
まるで庭を持ち、そこに池を作って橋も架けるような楽しさが、
身の内に広がり、自分という器も溢れて周囲に漂うかのように感じられる・・・。

自分の趣味に走った感想でごめんなさい。
私、日本民芸館に行くと、何時間も浸りきって過ごせちゃうくらい、
無条件に、民藝の作家たちが大好きなのです・・・昔から。

関連記事


  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://raffiner.blog70.fc2.com/tb.php/792-dfef6c01

プロフィール

Author:彩月氷香

とにかく本が好き
読書感想がメインですが
時々、写真や雑記も。

*初めましてのご挨拶
*ブログタイトルの由来

このサイトはAmazonアソシエイトに参加しています。

表示中の記事

  • 河井寛次郎 生命の歓喜
  • 2011年02月01日 (火)

カテゴリ

カテゴリー 月別アーカイブ

 

***