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文章の書き方  辰濃和男

4004303281
岩波新書
Amazon

「文は心である」
著者が伝えたいのは、そのことに尽きるのです。
ちょっと長くなってしまいますが、まえがきより引用します。

正確にものごとを見る訓練をおろそかにしている人が、はたして正確な文章を書くことができるでしょうか。大自然と遊ぶたのしさを知らない人が、人の心をとらえる自然の描写をすることができるでしょうか。品性のいやしさが顔に表れている人が、品格のある文章を書くことができるでしょうか。いらいらせかせかの気分のまま机に向かって、読む人の心にしみる落ち着いた文章を書くことができるでしょうか。ひとりよがりなことばかりをいっている人が、目配りのきいた、均衡のとれた文章を書くことができるでしょうか。表面はごまかせるかもしれません。しかし心のゆがみは、その人の文章のどこかに現れます。

うっ(言葉に詰まる)。あわわ(焦る)。だって、だって(言い訳が巡る)。
わぁ~ん(泣く)。ごめんなさいっ(耳をふさぐ)。
きゃ~、どうしよう(ジタバタ)。

文章を書くことの恥ずかしさに、今更のように襲われ、
私、皆様の前から姿を消したくなってしまいます・・・。

いえ。朝日新聞の「天声人語」を担当してらした辰濃氏。
怖い人ではありません。説教口調で「文章とは」と語りもしません。

書くこと、読むことに愛情を持ち、それゆえの厳しさが、
気配りの行き届いた優しい文面から立ち上ってきます。
でも、その厳しさを他人ではなく、ご自身へ向けておられる。
だから、本書そのものが文章のお手本になっているのです。

筆者の書きたいことが明確で、濁りなく伝わってくる。
「思い」が「人柄」をも感じさせつつ、読み手に届く。
そして、我が身を振り返って「さて、では私は?」と考えさせる。

引用される名文の数々を読むだけで楽しいのです。
良い文章は甘かったり、苦かったり、香りがしたり、色が躍っていたり、
鋭く刺さったり、ふんわり包んでくれたり・・・。

深呼吸して、思いきり吸い込みたいような、そんな文章たち。
見えないからつい、普段は忘れがちな貴いものを甦らせる。
その鮮やかな像は、しかし仰々しさはなく、ふとそこに在るという印象で、
それは「空気が美味しい」と感じる瞬間の幸せに似ている。

かの如き名文は、どこか遠い「芸術」という畑に育つものであって、
いいんだもん、私は「素人雑文」という空き地に映えてる雑草だもん。
って、雑草に失礼過ぎる・・・あの健気な可憐さは私には無いのに。

やっぱりね、精一杯、良い文章が書きたいな。下手は下手なりにも。
その為に自分の後ろ姿をきちんと見ることをおろそかにしないようにしたい。

ほんとは見たくないんだけどなぁ・・・みっともないに決まってるもん。
きっと背中が曲がってて、トボトボと歩いてるんだもん。
捨てるべき荷物をズタ袋に入れてしょってる気がするし。
いや、大切なものを置き去りにして、せかせか歩いてるのかも・・・。

でもわかっていて直そうとしないのは、心のゆがみ、なんだと思う。
私の場合は心のひがみ、か。いやいや、手抜きか。
いずれにせよ、見て見ぬフリは、自分に跳ね返ってくる。

書くこと、もしくは読むこと、あるいはそのどちらもを愛する人へ。
まだ読んでなかったら、ぜひ読んで欲しいなぁと思います。

(2011.5.9)
「これはもうご存じかと思いつつ」と、私にこの本を教えて下さった人。
今、お元気でいらっしゃるでしょうか・・・。祈る思いでいます。
優しい波のように、穏やかに心に寄せ打つ文章を書く女性でした。
いつも、私が書き得なかったことを、その鋭く繊細な感性で読みとって、
温かな、でもドキリともするようなコメントを贈って下さいました。
いくたび、彼女の言葉に励まされ、気持ちが潤ったことでしょう。
彼女の住所を私は知りません。連絡先も。お名前すらも。
ただ、福島県にお住まいだったということしか・・・。


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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011.05.11 13:40 | | # [edit]
彩月さん、

わわわ、
私も、あたふたしてしまいそうです。。。

いい文章、多くの人に意図が伝わる文章を書きたいと常日頃から思っていますが、なかなか思うようにいかないです。

最近、小学3年生の息子と話していて、自分の表現力、説明力の無さに愕然とすることが多いです。昨日もお風呂で、「パパー、ひいきって何?」と聞かれて、あわわとなりました。これを平易な言葉で説明するのは結構難しい。色々と具体例(息子はテニスが好きなので、ナダルとフェデラーが・・・という説明)で何とか事なきを。。さらに「じゃあ、えこひいきって何?お姉ちゃんが言ってたんだけど」。。。。

できるだけ平易な言葉で、子供にも分かるような、そして美しい文章を書くことが私の目標です。

彩月さんは、どんな文章を書くことを目指されています?
やっぱり、”きりり”かな?
2011.05.11 17:38 | URL | 速読おやじ #JyN/eAqk [edit]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011.05.12 23:36 | | # [edit]
こんばんは~。
元新聞屋さんですよね?
ぼくはこの人のお遍路さんの本を2冊持っています。
いつかは歩き遍路をしたいと思いながら毎日あほな暮らしを送っとります(^○^)
2011.05.12 23:58 | URL | かっぱのしんちゃん #JyN/eAqk [edit]
文章、難しいですよね。
速読おやじ様が息子さんになさったように、
自分の得意とする分野でたとえ話をする、って良いですね。

私が目指す文章ですか?

美しく、わかりやすく、端正、静かで、独自の持ち味もあり。
・・・って、欲張り過ぎて笑えます。絶対無理だ―。

平易な言葉で、というのは私も同じです。
難しい熟語を遣うよりは、比喩を工夫したい。
・・・んですが。近頃、常套句に逃げ過ぎだと気付きました。

哀しいを「哀しい」と言わず、美しいを「美しい」と言わない。
この心に立ちかえらねば、と本書を読んで思いました。
使用する形容詞も動詞もワンパターンになっちゃってますもん。

きりり、も。そうです。潔さが欲しいので。目指してます!
それが単に「省略」や「無闇な体言止めの乱用」になりがちで。

あとは、リズム感の良さでしょうか。
まぁ五七調で書こうとかは思いませんけども(笑)、
やはり日本人だからか、読んでいて調子よくノレる文章が好きです。

実は理想とする好きな文章、あるんですよ。
それについては長くなりそうなので、また改めて。
2011.05.14 14:35 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]
良かった~。嬉しさに頬がゆるみました。
(辰濃氏にダメ出しくらいそうな表現ですね)

恥ずかしさで言えば、私も負けません!
・・・て、競うことじゃありませんね(笑)

恥をかくのに慣れて面の皮が厚くなっていくのが怖いけれど、
意外と大抵のことは、「案ずるより産むが易し」だなと、
近頃、割とのん気に思っています。

・・・その逆で、無思慮な行動を後悔することもありますが。

また、いつでも、ふらりとお訪ねください。
足あとを残して下さってありがとうございます。
2011.05.14 14:51 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]
突然ですが、彩月さんの文章について少し考えてみました。
(あらら、なにやら上から目線だわ。。。)

しっとりあり、きりりあり、ユーモアありと色んな顔がありますが、
どの文章でも感じるのは、「愛情」と「余白」かなぁ。

読んでもらえて良かったねと声をかけたくなるような、
読んだ本一冊一冊に対する愛情、真摯で誠実な姿勢。
ふわりと伝わってきます。
なので、読んでいて気持ちが良いです。

もう一つの「余白」というのは・・・
説明調に全てを語るわけではなく、かといって抽象的でもなく、
どんな本なんだろうと興味を抱かせてくれる。
「こういう内容の本です。私はこう思いました。」と書いてお終いではなく、
その本が持つ幅や含みを切り捨てず、
その本が持つ「空気」をも感じさせてくれる。
彩月さんと違う感想でもいいんだわと思わせてくれる。
余裕というのか、包容力というのか、色気というのか。
うーん、うまく説明できませんが、伝わるかなぁ。
伝わらなかったら、言ってくださいね。再チャレンジします!

断定的説明的な文章も、内容が知りたい時や
買うか迷っている本の評価が知りたい時なんかはとってもいいんです。
(アマゾンのレビューはよく参考にしてますし)
ただ時々、その感想が「私はこう思いました。」だけですまず、
「あなたも同じように思うはず。いや、むしろ思わなきゃおかしい」
と、こちら側を縛ってしまうものがある気がするんですよねぇ。
(もちろん、そんなことは書いてありませんから、私の気のせいかも。
 でもやっぱり気のせいじゃない気がするなぁ。)

何というか、彩月さんのブログは海みたいです。
あっちにふらふら。こっちにふらふら。
私を好きに泳がせてくれる。

毎日読むブログが増えると大変なので、どの分野のブログもあまり
お邪魔しないようにしているんですけれど、彩月さんのブログには
釣られてしまいました。
「断捨離」しようとして、逆に読むブログが増えちゃった(笑)

私は長いうえに逐一説明する文章を書く傾向が大いにあるので。
自分の文章が嫌になっちゃいます。
なのに、こんな偉そうなコメントを送るとは!!恥ずかしい。。。
しかも、今回もやっぱり長いし。
恥ずかしいので、今回はこの辺で。
大変失礼いたしました~。
2011.05.16 23:17 | URL | 一鑑 #JyN/eAqk [edit]
うれしくて。頂戴したコメントを何度も読み返しました。

一鑑さまが表現してくださった私の文章の印象は、
「ほんとに?ほんとに?」とはしゃいで駆け回りたくなるくらい、
私が目指していた理想の姿なのです。

「余白」は、常に心掛けていたことなのですが、
それが伝わっているという自信が持てなくて・・・心細くて。

ズバっと核心をつくような批評に憧れもあって。
その方が多くの方に役立つだろうなぁという思いもあって。

それでも、初めて本を読むときの「期待と不安」を、
読者の方に残しておきたいという気持ちの方が強くて。

この本はこう読むべき、ここが勘所、みたいな指摘は。
それはそれで、本を効率よく読む助けにはなると思います。
見通しが良くなったり、重要な点をつかみやすくなったり。

でも、わからないものはわからないままに自分の感性で、
不十分でいいから、自分なりに感じとって読む方が好きなのです。

私が読み取れるものなんて、そうたくさんはなくて。
大切なポイントを読みこぼしてるかもしれないのだけど。
私なりの感じ方を正直に、でも人に押し付けることなく、
そっと差し出して、それで何かを感じてもらえたらな、と。

たまに、自分の思いばかりになっちゃった、と反省もします。
無駄に力が入っちゃったなぁ・・・と恥ずかしくもなります。

「私個人の視点」ながら、その作品の「気配」「色」「空気」、
というものは、伝えたいな・・・とそう思っています。
それも主観には違いないのですが、それらには「余地」があるので。

他の見方をしても、いい。他の感じ方があってもいい。
それを逆に、教えてもらったりすることも、楽しい。

思いはあっても、まだまだ至りません。
一鑑さまの下さったコメントを大切に、かつ励みに、
また日々、綴っていきたいと思います・・・本当にありがとう。

こんな素敵な言葉の贈り物ができる一鑑さま、
読む力も、書く力も、しっかりとお持ちだと思います。
子育てに余裕が出来たおりには、「書く」ことも試みられては?
・・・って、出過ぎたおせっかいかもしれませんが。

「長過ぎる」「説明する傾向」とご自身がおっしゃる文章には、
優しさと思いやりが滲み出ていて・・・、私は好きです。
2011.05.17 20:04 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]
やはりそうだったんですね。
うーん、私の読解力も捨てたものじゃなかったみたいで嬉しいです。
彩月さんが目指してらっしゃるものは、
大丈夫!ちゃんと伝わってきてますよ。
余白や余地があって、空気や気配が伝わってくるから、
毎日読ませていただいているんだと思います。
ズバッと核心をつく批評もとても良いと思いますし、
そういった紹介文から読みたくなることも、とても多いです。
ただ、もしそういうブログなら、
たぶん自分の知りたい本の紹介を読むのがメインで、
毎日アクセスすることはなかったと思います。
彩月さんのブログそのものが一つの読み物になっているので、
今日は何の本かな?どんな写真が載ってるかな?
今日はどんなことされたのかな?おいしそうな写真はあるかな?と
毎日楽しみに読ませてもらっているのだと思います。

実は、彩月さんのブログを読むようになって、
いつか自分も読書ブログを書いてみたいなぁと心密かに思っていました。

子供の頃は、国語と読書感想文が好きだったのです。
大学では国文学を専攻し、古典のとある作品で卒論も書きました。
今の生活には何の役にも立ってないけれど、どの講義も楽しかったなぁ。

彩月さんのブログはセンスがあって素敵ですよねぇ。
本当にいつも感心してます。
もし自分でブログを作ったら、
センスの悪さにがっかりしちゃうだろうし、
説明調で断定的で長くてくどいわりに分かりにくい、
へたっぴな文章を書くに決まってるし、
読むだけの方が身のためだなぁ。
と、心密かに思い直した次第です。

優しさと思いやりだなんて、
もったいないような褒め言葉、ありがとうございます。

お陰で、それでもいつか・・・と頭の片隅に置いておく気になりました。
いつ来るとも知れないその日まで、ただの読者として、
彩月さんのブログを楽しませていただきますね。
よろしくお願いします。ぺこっ。




2011.05.19 01:00 | URL | 一鑑 #JyN/eAqk [edit]
「読み物になっている」というのは・・・これは、また!
私にとって、この上ない褒め言葉です。
ありがとうございます・・・幸せで胸いっぱいv-22

書いてみたいなぁという気持ち、大切にして下さいね。
たぶん、いつか書ける日が来ると思います。
私も始めるまで、ゆうに10年くらい経ってますもの(笑)
ブログ以外の道もあるかもしれませんし。

好きなことは、上手くできなくても楽しいですよ。
自分の理想に現実がついてこなくてジタバタしますけど、
「思い」があれば、少しずつは近づいていけるかなぁ。

センス・・・といいますか。うん。やたらとこだわりがあって、
文章以外でも格闘してますね・・・それも楽しみのうちかな?
まだ、色々と実は不満があるのですけれども。

こうして、出会いがあって、好きなことの話ができるのが、
ブログの良いとこですねぇ・・・。いっぱい励ましてもらってますし。
一人でボソボソ読書してた頃より、少し、世界が広くなりました。

こちらこそ、よろしくです~。
2011.05.19 15:45 | URL | 彩月氷香 #- [edit]
とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます!!
2011.09.04 20:00 | URL | 履歴書の書き方の見本 #- [edit]
初めまして。
こちらこそ、ありがとうございます。
いつでも、気軽にいらして下さいね。
2011.09.04 21:40 | URL | 彩月氷香 #b98C2Btc [edit]


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時々、写真や雑記も。

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  • 文章の書き方  辰濃和男
  • 2011年05月10日 (火)

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