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シューマンの指  奥泉 光

4062163446
講談社
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音楽・・・それは遠い憧れ。
魅入られた者たちの葬列の足跡。

なぜ、シューマンでなければならなかったのか?
(ベートーベンの指じゃ、駄目?モーツァルトは?)
・・・最後の最後に、納得がいった。

私自身がシューマンの音楽を語る資格はないので、判断は措くとして。
著者の思い描いたシューマンの世界は、次のようなもの。

シューマンの音楽は、何とは名指すことのできない、不穏な意味を帯びた、平明な夢に似ている。

呪いの奏でる音を、私もずっと聴いていた。
今なお、解けぬ過去の記憶の束縛を凝視しながら。

音色は記憶と密に語り合い、血も凍らせる冷気を運んでくる。
美しい漣のような旋律に乗って、容赦なくいつまでも追ってくる。

音楽と別れざるを得ない経験を持たぬ人生を、
もし生まれ変わることが出来るなら、私は願うだろう。

主人公とともに、歪んでなお輝きを増す幻を見つめて。
自らを罰することにも終わりはあるのかと、静かに問い続けた・・・

(2011.5.28)
私がクラシック音楽をまともに聴けなくなって10年になります。
それに纏わる事情も、一つの物語ではありますが。
おそらく、それについて語る日が訪れることはないでしょう。

この小説の主人公にとっての「指」。私にも、それはある。
誰にも理解できないとしても、自分だけに通用する「けじめ」。
だから。きっと、音楽は私のもとへ帰ってくるのだと信じている・・・

曖昧で、思わせぶりな感想で、ほんとうにごめんなさい。
クラシックでなくても音楽を愛する人の心に深く響く本です。
鮮やかに欺かれる心地良さも、最近珍しい出色の出来栄え。
それが厭わしく感じられる方もあるかもしれませんが。



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時々、写真や雑記も。

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  • シューマンの指  奥泉 光
  • 2011年06月04日 (土)

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